モダン肥前磁器のあるテーブル 最終回（全4回） 肥前磁器とは、江戸時代に肥前国だった地で作られる器のことで、そのエリアは現在の佐賀県、長崎県にまたがっています。空間コーディネーターの佐藤由美子さんと、手持ちの器と組み合わせて使える器を制作。伝統の陶技に、新しい時代の感性を取り入れた器を、特別に誌上販売します。
前回の記事はこちら＞＞ ★のついている器は誌上販売対象商品です。価格には送料が含まれています。手作りの品のため、サイズや色、形、仕上がりなどが写真や説明と異なる場合があります。商品一覧はこちら＞＞ やま平窯──有田焼伝統の陶技を現代的に生かす
400年以上の磁器の歴史を有する佐賀、有田焼。やま平窯も創業より、染付や色絵の割烹食器を制作してきましたが、13年前から作風を転換。「創業51年の若い窯元らしく現代の住空間に合う提案をしたい。有田焼の素材、技法の基本を重んじつつ、新しい表現を模索しています」と2代目の山本博文さん。
〈奥〉「★木目長角プレートWhite＋木目フリーカップWhite」プレート縦18×横24×高さ1.3センチ、カップ径6.5×高さ7センチ、セットで1万4000円。〈手前〉「★硯石長角プレートBlack＋木目デミタスカップBlack Platinum」プレート縦13×横25×高さ1.2センチ、カップ径5×高さ5.3センチ、セットで1万500円。「カップはコーヒーや紅茶はもちろん、スープを入れれば前菜のプレートに。ソーサーはカップを外しておつまみをのせても素敵です。一緒にも別々にも使えて便利」と佐藤さん。
木目のカップに似合う枝形の持ち手には、丁寧にプラチナが塗られる。控えめな光沢が上品な印象。国内にとどまらず、海外のシェフと交流する中で、自然をテーマにした料理や空間のレストランに合う器作りを意識するように。そして試行錯誤の末に誕生したのが、浮き彫りの技術を用いて天然木や石の表情を写し取ったプレートとカップ、特殊な技法によって海の底から水面を見上げた世界を表現した泡シリーズです。
「★泡シャーレBlue 3点セット」プレート（大）径25.7×高さ1.7センチ、（中）径22.3×高さ1.5センチ、（小）径18.8×高さ1.4 センチ、セットで2万4000円。中心から縁へと淡くなるブルーの上を、弾けるようにさまざまな大きさの泡が並び表情豊か。マットな質感もお洒落で、フレンチレストランでも使われている。「チーズやナッツだけでなく、カルパッチョやローストビーフ、サラダなどみずみずしい料理にもよく合います」と佐藤さん。重ねて省スペースで収納可能。
轆轤を回しながら、スプレーガンで顔料を塗布。ムラなくグラデーションにするのは高い技術が必要。磁器にすることで天然の表情はそのままに、軽量かつ片手で持ちやすい形に。「もともと一つ一つ表情が違い、侘びさびを感じる陶器に憧れがありました。磁器でもそれぞれに個性があるものを作りたいと思ったのです」。その想いから作られる器は、自然の意匠や偶発的な模様が磁器に描かれたもの。シンプルかつ個性的な、日常に映える器です。
★誌上販売対象商品をチェックする＞＞Information
やま平窯（やまへいがま）
佐賀県西松浦郡有田町桑古場乙2267-1
業務用食器の制作で培われた高い技術力
有田焼窯元「山庄窯」の次男・山本平作が、戦後に独立し「山平窯」を創業。1972年に先代・山本正治が社名を「やま平窯元」に改め現在に至る。長らく業務用食器を手がけてきたが、2011年から家庭向けに転換。なかでも12年に誕生した、独自改良の陶土で1ミリ以下の薄さと軽さ、飲み物の色が見える透過性を持つ卵の殻のような「エッグシェル」は、業界に衝撃を与えた。業務用食器で培った高い技術を応用して作られる器は、利便性と美しさが両立。 右から「エッグシェル ワイン ミニ Purple」1万9800円、「エッグシェル シルエット ロックGold」5940円、「エッグシェル MONYOU ぐい呑み セット」9240円。「ダイヤ彫りカバードボール」各3960円、「麻の葉紋正角皿」1万3068円。2代目・山本博文さん。有田焼の特徴である白さを大切に、モダンな器を提案。
表示価格はすべて税込みです。 撮影／久間昌史 コーディネート・料理／佐藤由美子
『家庭画報』2023年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
