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純白の大輪花、甘く優雅な香り…今が見頃の「タイサンボク」にうっとり!

2023.06.19

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

タイサンボク


タイサンボク
純白の大きな花が咲くタイサンボクは、とても素敵なシンボルツリー。つやのある葉は常緑で、冬の間も繁っています。

■属科・タイプ:モクレン科の常緑中高木
■花期:6月〜7月

純白の大輪花から漂う甘く優雅な香りにうっとり!


『マグノリアの花たち』という映画をご存じでしょうか。30年以上前に公開された映画ですが、タイトルに花名がついていると観ずにはいられません。まだ若手女優だったジュリア・ロバーツはこの作品でゴールデングローブ賞最優秀助演女優賞を受賞しています。

マグノリアといえば、日本ではモクレンやコブシが思い浮かびますが、アメリカのルイジアナ州を舞台にしたこの映画のマグノリアは、ルイジアナ州とミシシッピ州の州花になっているタイサンボクのことでした。マグノリアの中でも開花時期が遅く、いちばん大きな花を咲かせるタイサンボク。ちょうど開花の時期を迎えています。

タイサンボクは個人的に思い出深い花で、通っていた高校の校庭にはかなりの樹齢のタイサンボクが立っていました。体育館の正面というとても目立つ場所に立っていたにもかかわらず、当時はタイサンボクの花が咲いている様子を見た覚えがありません。開花の時期にはなんだかいい香りが漂ってくるのですが、何しろ樹高があって花が咲いているのが見えないのです。縁が少し茶色くなった白い花弁が地面に落ちているのを見て、やっと花が咲いていたとわかり、その花弁のサイズから、とても大きな花だと推測できました。高校のシンボルツリーでしたが、数年前の台風で倒れてしまったそうで残念でなりません。

タイサンボク
公園で見かけたタイサンボクは樹高が低く、たまたま目線の位置に花が咲いていました。またとないシャッターチャンス到来!

住宅街の散歩ではなかなか見かけないタイサンボクですが、公園や観光ガーデンでは植えているところもそこそこあります。なかには樹高があり、幹も太く、けっこうな樹齢と見受けられるものもあります。北米南西部が原産で、日本に導入されたのは明治時代のこと。

成長が早いので、大木になっているタイサンボクもかなりあるようです。花径が20cmほどもある大きな純白の花は、上向きに咲くのが特徴で、どおりで高校時代、見上げても花の下のほうしか見えなかったはずです。

最近では樹高がそれほど高くならず、コンパクトに育つ園芸品種も出回り、個人宅の庭でも栽培するかたが増えています。大きな花と、花から漂う甘く優雅な香りをぜひ楽しんでみてください。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★★☆☆

樹高が高くなると同時に、枝が横に伸びるので、栽培には広いスペースの確保が必要です。個人邸の庭であれば、コンパクトに育つ品種を選ぶのがおすすめ。日当たりがよく、腐植質に富んだ土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりします。幼木の間は土壌が乾いたら水やりしますが、成木になったら水やりは雨まかせでかまいません。毎年1月くらいに緩効性肥料を株の周りに施します。タイサンボクは枝数がそれほど多くないので、基本的には剪定はせずに育てます。枯れ枝や長く伸びすぎた枝は随時切り取ります。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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