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キンシバイの名でもおなじみ、梅雨どきに咲く黄色の花「ヒペリカム」

2023.06.16

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

ヒペリカム


ヒペリカム
梅雨どきに花も葉も雨を弾き、輝くような黄色で周囲を明るくしてくれるヒペリカム。これは大きな花を咲かせる園芸品種の‘ヒドコート’。

■属科・タイプ:オトギリソウ科の半常緑低木
■花期:5月下旬〜7月

梅雨どきに咲く黄色の花はキンシバイの名でもおなじみ


和名のキンシバイでも知られるヒペリカムは、日本でも古くから栽培されている花木です。おなじみの花木ではあるものの、昔にくらべると住宅街でヒペリカムを見かけることが多くなったなぁと感じます。

その多くが‘ヒドコート’という品種で、以前からあるキンシバイに比べると花が大きく、生育も旺盛。栽培しやすいことから人気が出て、個人邸だけでなく、公園など公共の植栽でも利用されるようになりました。ヒドコートといえば、イギリスにある有名な庭園「ヒドコート マナー ガーデン」を連想しますが、その庭をつくった園芸家のローレンス・ジョンストンが中国から持ち帰って庭に植え、イギリスに広めたことからこの名が付けられています。

ヒペリカム
樹高がそれほど高くならないので、小さな庭でも利用しやすいのが魅力。落葉期に刈り込むと樹形をコンパクトに保てます。

わが家のベランダにも鉢植えのヒペリカム‘ヒドコート’があります。毎日近くで観察しているとおもしろいことにも気づくもので、前日まで蕾だった花が翌朝には大きく開いていてびっくりすることもしばしば。パッカンと音を立てて開いたのではないか、と思うほど一気に開花するのです。

そして、花はまだ花弁がきれいなうちに散るのですが、その散りかたがじつに潔い!1枚ずつ花弁を落とすのではなく、花心を残してまるごとぽとりと落ちます。たまたま落ちる瞬間を見たら、まるで巻きスカートをはらりと脱ぐようで思わず笑ってしまいました。散歩道で見かけたら、落ちている巻きスカートを観察してみてください。

ヒペリカムは開花時期が長いのも魅力で、秋には紅葉も楽しめます。強い刈り込みにも耐えるので、樹形をコンパクトに保てることもあり、人気が出て植えるお宅が増えることにも納得です。輝くような黄色の花をたくさんつけた姿はよく目立ち、公園などで咲いているとその花色に引きつけられるように近寄ってしまいます。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

耐寒性、耐暑性ともに強く、育てやすい花木です。日なた、または明るい日陰で、水はけのよい土壌に植えます。元肥を施して苗を植えたらたっぷり水やりします。その後の水やりは雨まかせでかまいません。花は自然に落ちるので花がらを摘み取る必要はありません。落葉後に半分くらいのボリュームに刈り込むと、コンパクトな樹形を保てます。その際に緩効性肥料を施します。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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