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全国に453か所「がん診療連携拠点病院」とは?〔がんまるごと大百科〕

2023.04.12

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がんまるごと大百科 第4回【病院選び編】(03) がんと診断されたとき、どの病院で治療を受けるのか、患者は大きな選択を迫られます。今回はそんなときに役立つ病院探しのポイントについて、基礎知識編の記事に続き、国立がん研究センター がん対策研究所 事業統括の若尾文彦先生に伺います。前回の記事はこちら>>

納得できる治療のために病院選びのポイントを知る


若尾文彦先生(わかお・ふみひこ)
若尾先生

国立がん研究センター がん対策研究所 事業統括。横浜市立大学医学部卒業。1988年、国立がんセンター中央病院に入職。放射線診断部医長、がん対策情報センターセンター長などを経て、2021年より現職。信頼できるがん情報の発信と普及、がん対策評価などに取り組む。

治療や療養支援が充実しているがん診療連携拠点病院



前回の記事でご紹介したような、がんの治療や療養に関しての項目をほぼ満たしているのが、厚生労働大臣が指定する「がん診療連携拠点病院等」です。

全国に453か所あり、都道府県がん診療連携拠点病院(51か所)、国立がん研究センター中央病院と同東病院(2か所)、地域がん診療連携拠点病院(354か所)、特定領域がん診療連携拠点病院(乳がん、1か所)、地域がん診療病院(45か所)の5種の病院が含まれます。

これらの病院は、がんの多様な専門的治療の提供、緩和ケアの提供、地域のがん医療の連携体制の構築、セカンドオピニオンの提示など患者や住民に対する情報提供や相談支援の体制が整備されていることが確認されています。

がんと診断されたときには「まずお近くのがん診療連携拠点病院やがん診療病院を探すのがよいと思います」と若尾先生。

「2022年、拠点病院の指定要件の見直しが行われ、今後、都道府県内の病院で役割分担を明確にし、がんの種類ごとに対応している病院を明示していくことが求められています」。

さらに県指定の拠点病院や連携病院、支援病院などが自治体独自の要件で認定されていることもあります。

がん診療連携拠点病院やがん診療病院は、国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」で検索できます。また、がん情報サービスサポートセンターに電話すると案内してもらえます(下のコラム参照)。

病院のホームページなどに前述の項目が記載されていない場合は、がん診療連携拠点病院等にあるがん相談支援センターやかかりつけ医に尋ねましょう。

がん相談支援センターはその病院にかかっていない患者、家族を含め患者ではない人など誰でも利用できます。




【頼りになる情報源】
病院選びにがん情報サービスやがん相談支援センターを徹底活用


国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」には、がんの症状や標準的な治療法、社会的な支援など、がんに関する多面的な情報が掲載されています。病院の種類を確認したり、治療を受ける病院を探したりするときにも強力なツールになります。

また、がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」は患者や家族だけでなく、誰でもどこでも相談が可能で、病院を選ぶときにも支援してもらえます。

●がん診療連携拠点病院・地域がん診療病院、がん相談支援センターを探す

最寄りのがん診療連携拠点病院や地域がん診療病院、がん相談支援センターはインターネットで検索できるほか、ナビダイヤルでも案内しています。

がん情報サービスサポートセンター:0570-02-3410(ナビダイヤル 平日10時〜15時)
病院一覧(全国)はこちら>>

●病名・対応状況で絞り込む

がんの種類別、地域、さらにそのがんに対する診断や治療の実施状況などから、がん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院を絞り込むことができます。

例えば「病名(がんの種類)から探す」→「女性特有」→「乳がん」→「地域から探す」→「関東・甲信越」→「東京都」→「対応状況で絞り込む」→「手術」と選択すると都内で乳がんの手術に対応する30病院のリストが出ます。

リスト内の病院にリンパ浮腫外来などの専門外来があるかどうかもわかります。

病名・対応状況で絞り込む>>

●院内がん登録 全国集計 結果閲覧システム(0年集計) 施設別検索

がん診療連携拠点病院をはじめ、がんの診療に力を入れている病院では院内がん登録を実施し、診断や治療のデータを集めて結果を公表しています。

「院内がん登録 全国集計 結果閲覧システム」ではがんの部位や種類別に施設を検索できます。ある病院のがん治療の傾向について調べたいとき、いくつかの病院が選択肢に挙がっているときに各施設の特徴をつかめます。

ただし、ここで出てくるのはあくまでも病院での実施件数のデータで、病院の優劣を表すものではないことに留意する必要があります。

院内がん登録 全国集計 結果閲覧システム(0年集計) 施設別検索>>

●がんの相談 施設別がん登録件数検索システム
がん種別の診療数で病院を探してもらう


院内がん登録については都道府県がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターなどでより詳細に検索してもらえます。

統計データの解釈や自分に合う病院の選択について、データを見ながら相談するのがおすすめです。特に希少がんの治療を受ける病院を決める際には有力な情報になります。

がん種別の診療数で病院を探してもらう>>

がんまるごと大百科

1「女性の2人に1人はがんにかかる時代です」
1−1 2人に1人はがんにかかる時代、正しい情報を知りましょう
1−2 男性よりひと足早く、30歳過ぎから増える女性のがん患者。その理由は?
1−3 早期発見なら多くのがんは助かる病気。かかることを想定してリスクに備えましょう

2「5つの健康習慣を実践してがんをできるだけ予防する」
2−1 女性のがん要因として最も多いのは「感染」。がん予防につながる5つの健康習慣とは
2−2 がん予防にはまず禁煙や節酒を! 嗜好品の摂り方をチェックしましょう
2−3 がんのリスクが約4割下がる5つの健康習慣。運動を欠かさず、適正体重を保ちましょう

3「早期発見に役立つ根拠のある検診を受ける」
3−1 がん検診を正しく利用してがんによる死亡リスクを減らす
3−2 目的はがんを早期に発見し適切な治療をすることでがんによる死亡を減らすこと
3−3 国が推奨する検診を基本に自分のがんリスクに応じた検診を賢く選んで受ける

4「納得できる治療のために病院選びのポイントを知る」
4−1 自分のがんの状態について把握するのが第一歩
4−2 医療体制だけでなく、生活支援や地域連携、情報公開も選択のポイント
4−3 がん診療連携拠点病院等では医療・生活支援体制が整っている
イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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