365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> センテッドゼラニウム
イチゴのような甘い香りがするストロベリーゼラニウム。濃淡ピンクの花もかわいらしく、センテッドゼラニウムの中ではよく目立つ花色です。■属科・タイプ:フウロソウ科の宿根草
■花期:4月〜7月
■草丈:30〜100cm
葉に魅力的な香りがあるゼラニウムは、華奢な花も愛らしい!
ゼラニウムの中で葉に香りがあり、ハーブとして利用されるものをセンテッドゼラニウムといいます。葉は常緑性で1年中利用できますが、ちょうどこの時期にかわいらしい花を咲かせる種類が多く、庭づくりでも活躍します。
花やフルーツ、スパイスなど、さまざまな香りがする園芸品種がありますが、なかでも代表的存在で古くから利用されているのがローズゼラニウムです。
名前の通りバラのような優雅な香りに少し爽やかさをプラスした芳香が私は大好きで、鉢植えで長く育てています。少し気分がのらないとき、いつもの元気が出ないとき、この葉を指先で触って香りを嗅ぐだけで、晴れやかな気持ちになります。
昔からハーブにはさまざまな効用があるといわれ、なかには「本当に?」と、少し疑うようなものもありますが、ローズゼラニウムの香りが心にもたらす効用については、日々実感しています。
ローズゼラニウムは原種の一つで、これを利用したさまざまな園芸品種が生み出されています。
センテッドゼラニウムを代表する存在のローズゼラニウム。私は香り成分の抽出液をエアフレッシュナーとして利用しています。摘み取った葉を水に入れて10分ほど煮て冷ませばできあがり。室内によい香りが広がり、明るい気持ちになれますよ。よく訪ねる観光ガーデンにはハーブガーデンがあり、センテッドゼラニウムの種類をたくさん見られるのですが、そこのガーデナーさんはアップルゼラニウムがいちばん好きだと話していました。
アップルゼラニウムも原種の一つで、リンゴに似た甘酸っぱいような優しい香りがします。香りの好みは人それぞれなので、いろいろな種類の葉に触れてお気に入りの香りを見つけるのもセンテッドゼラニウムの楽しみ方だと思います。
センテッドゼラニウムの葉はどの種類も産毛のような短い毛で覆われ、なめらかな触り心地です。前出のガーデナーさんによると、葉を触るという行為も五感で植物を楽しむうえで大切な要素なのだそうです。
花を見る=視覚、香りをかぐ=嗅覚、葉を触る=触覚、葉の香りをお菓子などに生かす=味覚、花や葉が風で揺れる音を聞く=聴覚。そうか、庭を歩いたり、花散歩をすることで五感が刺激されているのか、と話を聞いて納得しました。
ローズゼラニウムやアップルゼラニウムなどお菓子や料理の香り付けにも利用できるので、散歩から戻ったらそのお菓子とともにお茶の時間にすれば、五感磨きもパーフェクト!
栽培の難易度
日当たり、風通しともによい場所で、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりすれば、あとは雨まかせでかまいません。やや乾燥した環境を好むので、鉢植えの場合は多湿にならないよう、表土が乾いてから水やりをします。花房全体が咲き終わったら、花茎の根元から摘み取ります。大きな株であれば、花が一段落する梅雨の時期に草丈の半分くらいまで切り戻すと、夏以降の株姿がきれいに整います。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。