淡いブルーが上品。2つのブルーベル「イングリッシュブルーベル」&「スパニッシュブルーベル」

ヒアシンソイデス

スパニッシュブルーベルの群生は、こんなに上品で華やかな雰囲気。イングリッシュブルーベルより少し淡いブルーです。

■属科・タイプ：キジカクシ科の宿根草

■花期：4月〜5月
■草丈：20〜40cm

イングリッシュ&スパニッシュ。2つのブルーベルはどちらもキュート！

ヒアシンソイデスといわれてもピンと来ない方も多いと思います。以前はシラー属に分類されていたシラー・カンパニュラータが独立した属に変わり、名前もヒアシンソイデスと呼ばれるようになりました。

ヒアシンソイデスには大きく2つの種類があり、一つはヒアシンソイデス・ヒスパニカ、もう一つはヒアシンソイデス・ノンスクリプタです。

ここまでの説明で「もしや？」と思い当たった方もいるのではないでしょうか。ヒアシンソイデス・ヒスパニカとは「スパニッシュブルーベル」。



スパニッシュブルーベルは、茎を取り巻くように花がつきます。淡いブルーに濃いブルーの筋が入る花がとてもきれい。

ノンスクリプタは「イングリッシュブルーベル」のことです。



イングリッシュブルーベルは、茎の片側に花がつきます。スパニッシュブルーベルより青が濃く、花は少し小さめです。

イングリッシュブルーベルといえば、イギリスの晩春〜初夏を代表する花。イギリス人がこよなく愛する花です。

私も一度、カントリーサイドでイングリッシュブルーベルの群生に出会ったことがありますが、ベル型の小さな花の鮮やかな青が林の地面を埋め尽くす景色にしばし言葉を失いました。風で雲が動くと光の差し込み方が変わり、それで青の濃淡が揺れ動くさまがあまりに美しく幻想的で、今でも鮮やかに記憶に残っています。

そのイングリッシュブルーベルが、今、危機的状態にあります。

性質がとても強く、成長スピードが早いスパニッシュブルーベルの栽培品種が紛れ込み、イングリッシュブルーベルと交雑して、本来のイングリッシュブルーベルに取って代わる勢いで増えているのです。イギリスではイングリッシュブルーベルを保護する目的で、イングリッシュブルーベルの輸出入を禁止する動きが始まっています。

さて、悪者のような言い方をしてしまいましたが、スパニッシュブルーベルもとても魅力的な花で、日本では昔から個人邸の庭でもよく利用されてきました。何しろ丈夫な性質で、管理の手間がかからず、一度植えれば数年は花が楽しめます。また、青のほか、白やピンクの花色もあります。

2つのブルーベルの違いは、イングリッシュブルーベルは茎の片側だけに花をつけるのに対し、スパニッシュブルーベルは茎を取り巻くように花をつけること。どちらもベル型の花がとても愛らしいことに変わりないので、散歩道で見かけたら、花のつき方に注目して見分けてみてください。

栽培の難易度

日当たりがよい場所、また明るい日陰で育ちます。耐暑性・耐寒性ともに強く、暖地から寒冷地まで広い環境に対応します。水はけのよい土壌を選び、元肥を施して植えつけます。植えつけ時にたっぷり水やりしたら、地植えであればその後は雨まかせでかまいません。追肥の必要はありません。終わった花がらは摘み取り、葉は枯れるまでそのままにします。スパニッシュブルーベルはよく増殖するので、株が込み合ってきたら株分けするのがおすすめです。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる