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〔女性外来を訪ねて〕盛岡・西松園内科医院へ。心身症には心理療法で上手な自己主張をうながす

2023.03.15

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第10回(04)日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する、全国・女性外来を紹介します。前回の記事はこちら>>

【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
西松園(にしまつぞの)内科医院 院長齊藤惠子先生


●前回の記事
動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法

“NOといえない人”が心身症になりやすい
心理療法で上手な自己主張をうながす



齊藤惠子先生

齊藤惠子先生(さいとう・けいこ)
弘前大学医学部卒業。同大学医学部附属病院内科、盛岡鉄道病院主任内科長を経て、1985年西松園内科医院を開業。専門は消化器疾患、心身症。企業と契約し産業医としても活動。交流分析や自律訓練法を用いた心身医学的アプローチで内科疾患に対応する。日々の診療風景をテーマにした俳句作りが趣味。

ストレスによる体の不調を「交流分析」の手法で治療


開業して40年近く。内科医の齊藤惠子先生のもとには、家庭や職場で心労を抱え、挙げ句に体調を崩した人々が男女を問わず訪れてきます。

待合室

待合室には患者向けにたくさんの書籍が置かれている。

女性医療の専門書

診察室のデスクには消化器疾患や女性医療の専門書。

症状だけでなく背景にあるストレスや性格的要因にも目を向け、一人一人の状況に応じた心身両面からの治療を行うのが大きな特徴です。

メンタルヘルスチェック

初診時に行うメンタルヘルスチェックリスト。全部で22の質問への回答をもとに治療法を探る。

ストレスの影響が体の不調に現れるいわゆる心身症の症状は、食欲不振、肩こり、うつ状態、不眠などさまざま。初診時にメンタルヘルスチェックを行い、ストレス度の高い場合はカウセリング治療で対応していきます。

このとき主に用いるのが「交流分析」。エゴグラムという診断テストを行って性格を5つに分類し、行動や思考パターンの傾向を明らかにして対人関係を改善していく心理療法です。

「私もOK、あなたもOK」の対人関係を目指す


エゴグラムでは、NOといえず、無理をしても周囲の期待に応えたいと頑張る傾向がみられます。

「家族の都合を優先し自分は二の次、仕事も家事も一人で抱え込む日々のストレスが被害者意識となり、身体症状に現れる女性は多いですね。私はお話に耳を傾けながら、相手の意向も受け入れ適度に自己主張もする“私もOK、あなたもOK”の対人関係を築けるよう導いていきます。自分を大事にできるようになると不思議と周囲への不満が消え、相手の長所も見えてくるのです」(齊藤先生)。

恵

院内に飾られた知人書家の書。外科医だった父はクリスチャンで、讃美歌の歌詞から「恵」の字をとり「惠子」と名づけた。

医療現場の環境改善にも取り組み、働く女性を長年支えてきた齊藤先生。

「外科医だった父はマニラの野戦病院で戦死しました。志半ばで逝った悔しさを引き継ぐ覚悟で、患者さんに寄り添う医療を心がけています」。

Information

西松園内科医院

岩手県盛岡市西松園3-22-1

  • 内科・消化器科・心療内科・人間ドック

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」

10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」

*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。 URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info *「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信している。 公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/ YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>
撮影/菊地正則 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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