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強く魅力的な香りを放つ「ジンチョウゲ」。日本の三大香木のひとつです

2023.02.26

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

ジンチョウゲ


ジンチョウゲ
散歩道で見かけることが多くなった白花のジンチョウゲ。爽やかな印象で人気があります。

■属科・タイプ:ジンチョウゲ科の常緑低木
■花期:2月下旬〜4月中旬

遠い記憶を呼び覚ますほど、強く魅力的な香りです


実家の門から玄関までの通路にジンチョウゲが2本植わっていて、花が咲き出すとそれは素敵な香りが漂っていました。とくに夜遅くに帰宅すると、門を開ける前から甘く優雅な香りが出迎えてくれ、なぜかとても安心感を覚えました。

その記憶があるせいか、散歩道でジンチョウゲの香りに気づくと、どこか郷愁のようなものを感じます。遠い記憶を呼び覚ますほど、ジンチョウゲの香りは強く、印象的なのだと思います。

春のジンチョウゲ、初夏から夏にかけてのクチナシ、秋のキンモクセイは、日本の三大香木といわれます。

魅力的な香りがするだけでなく、香りがとても強いのが特徴で、少し離れた位置からでもその香りに気づきます。ジンチョウゲの別名の千里花も香りが遠くまで届くことからつけられたものです。いずれも甘く優しい香りなので、古くから香水にも利用されてきましたが、皆さまはどの香りをお好みでしょうか。

さて、ジンチョウゲは中国中部から雲南省、ヒマラヤ地域が原産で、日本では室町時代にすでに栽培されていたといわれています。花弁の外側が淡いピンクになっているウスイロジンチョウゲが多く利用されますが、最近では少しクリーム色がかった白花品種も人気があります。

また、斑入り葉や葉にねじれがある個性的な品種も出回り、選択の幅が広がっています。自然にこぢんまりとした樹形になり、剪定の手間がかからないこともあって、現在でもジンチョウゲは人気があります。散歩道でその香りに気づいたら、花色や葉色、葉形まで観察してみてください。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

日なたから明るい日陰で、水はけのよい土壌が適しています。移植で根が傷むのを嫌うので、植え替えを必要としない場所を選びます。植えつけの際にも根を切らないように気をつけます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。翌年以降は花後の4月下旬に株元に緩効性肥料を施します。水やりは雨まかせでかまいませんが、幼木の間は土壌が乾いたらたっぷりと水やりします。自然に半球状に樹形がまとまるので、基本的には剪定の必要はありません。枯れ枝に気づいたら取り除く程度でかまいません。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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