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野に咲く姿を連想させる美しさ。原種の面影を残す「プリムラ・エラチオール」

2023.02.20

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

プリムラ・エラチオール


プリムラ・エラチオール
長野県の観光ガーデンで、地植えで10年以上咲き続けているプリムラ・エラチオールを見て、クラシックで華やかな花姿にうっとりしました。花茎が長く伸びてくるのが特徴で、そこが野に咲く花のような雰囲気を感じさせるのだと思います。

■属科・タイプ:サクラソウ科の宿根草
■花期:12月〜翌年5月

■草丈:20〜30cm

原種の面影を残すクラシックな花がかわいらしい


以前プリムラ・ポリアンサの人気品種‘ジュリアン’を紹介しました。今回はそのポリアンサの親の一つとなったエラチオールを紹介します。

エラチオールはヨーロッパ原産で、イギリスでは古くから親しまれていた原種のプリムラです。産業革命の頃のイギリスでは、同じく原種系のプリムラ・オーリキュラが多くのコレクターを生み出すほどのブームとなりました。もともとはヨーロッパアルプスの高山に自生するプリムラなので、交配種もその性質を受け継ぎ、栽培が少々難しい面があります。

その点、同じ原種系でも涼しい環境であれば何年も繰り返し春に開花するエラチオールは栽培がしやすく、日本でもさまざまな品種を集めて栽培している愛好家も多くいます。どちらも花は小さめですが、すっきりとした一重の花が愛らしく、野に咲く姿を連想させるのが大きな魅力です。

プリムラの愛好家にとくに人気の高い品種に‘シルバーレース’‘ゴールドレース’があります。これはエラチオールを交配に使った品種で、セイタカセイヨウサクラソウの和名でも知られます。

花弁の縁にくっきりと覆輪が入るのが特徴で、白の覆輪が入るのが‘シルバーレース’、黄色の覆輪が入るのが‘ゴールドレース’です。ポリアンサの園芸品種と分類されることもありますが、そのクラシックな花姿は、ポリアンサの親の一つ、エラチオールの性質を強く継承しているように私には感じられます。

長野県の観光ガーデンでは、環境が気に入ったのか、かれこれ10年以上春になるとエラチオールが咲くのだそうで、そのかわいらしいシーンを目にすると、私も育ててみたくなってしまいました。夏の暑さに弱い面があるので、温暖地なら鉢植えにして、夏は涼しい場所に移動させるのがおすすめだそうです。

プリムラ・エラチオール
エラチオールの性質を受け継いでいる‘シルバーレース ブラック’。‘シルバーレース’には濃いピンクやワインレッドなどもありますが、このブラックはとくにクラシックな雰囲気があります。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

冷涼な気候のエリアでは地植えも可能。温暖地では鉢植えで管理するのがおすすめです。地植えの場合は、日なたで夏には明るい日陰となる落葉樹の下などが適しています。水はけのよい土壌を選び、植えつけ時に元肥を施します。その後は追肥の必要はなく、翌年以降は秋に緩効性肥料を株元に施します。地植えの場合、水やりは雨まかせでかまいませんが、乾燥が激しいときには株元にたっぷり水やりします。鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷり水やりを。終わった花がらや黄色くなった下葉は随時摘み取ります。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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