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手術後の回復力に違いが出る「腸管バリア機能」とは?

2018.02.23

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治る力 現代人は医療や薬に頼りすぎて、もともと備わっている自然治癒力が減退しているといわれます。そこで「“治る力”を活性化するには?」という疑問に、専門家の方に具体的にお答えいただく連載をスタート。これから3回にわたって、「腸を大切にする生活習慣が“治る力”を高める」をテーマに、腸管免疫のお話をご紹介します。記事一覧はこちら>>

「腸能力」を生かす(1)
手術後の回復力に大きな違いが出る、腸管バリア機能に注目


金沢大学大学院 消化器・腫瘍・再生外科学教授 太田哲生先生
金沢大学大学院 消化器・腫瘍・再生外科学教授
太田哲生(おおた・てつお)先生





1954年石川県珠洲市生まれ。 79年金沢大学医学部卒業後、同大学外科学第二教室へ入局。医学博士。 87年同大学助手、96年同大学講師、99年同大学助教授を経て、2006年より現職。 専門は消化器外科、特に肝臓、胆道、すい臓疾患の外科治療。 おなかの外科医の立場から、「なぜ腸を丈夫にすることが大事なのか」を語る、一般向けの講演にも力を入れている。


母の闘病をきっかけに腸内環境の重要性に気づく


最近、“ディスバイオーシス”という言葉をよく耳にします。腸内環境が乱れていることを表す言葉で、この状態が続くと腸管のバリア機能や免疫力が低下し、生命力や治癒力が減退して、炎症性の腸の疾患や生活習慣病など、さまざまな病気にかかることが知られています。私がその腸内環境の悪化こそ、あらゆる病気の根源ではないかと気づいたのは、十数年前、50歳の頃でした。

母が重度のリウマチ・膠原病にかかり、67歳で亡くなったこと、その後、私にもリウマチの症状が出てきたことなどから、生きる力が障害されていく病気はなぜ起こるのか、自分の経験を踏まえて本格的に研究したいと思ったのです。そこで辿り着いたのが腸管免疫の世界。「腸はまさに超(腸)能力を持つ器官!」という言葉が脳裏にひらめきました。

私どもの病院には、がんの手術を受けに来られる患者さんが多いのですが、その場合も腸内環境の改善、腸管バリア機能・免疫の強化を念頭に置いた取り組みが、最も重要になります。

患者さんの中には動脈硬化や糖尿病、心臓病、脳梗塞などの生活習慣病を抱えているかたが少なくありません。そういうケースは術後の合併症が起こりやすく、速やかな回復が妨げられ、さらにがんの再発が高まる可能性も指摘されています。

ですからこのような患者さんたちには、がんの再発を抑える治療を踏まえた、安心・安全な手術を提供するのはもちろんのこと、栄養を含めた体調管理にもきめ細かく気を配らなければなりません。

患者さんたちに手術後に早く元気になって笑顔を取り戻していただくためには、何といっても腸を丈夫にするケアが必要で、腸内環境の改善に力を入れることが、患者さんの治癒力を高める近道と、今は確信しています。ちなみにわが医局のモットーも「早く、元気で、素敵な笑顔」なんです(笑)。
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