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「大名家の正月」を特別に再現。貴重な史料に描かれた、豪壮たる正月迎え

2022.12.27

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平戸・松浦家のお正月 第2回(全4回) 古より大陸との交流の玄関口として繁栄してきた、長崎県北部に位置する港町・平戸。この地を延久元(1069)年より明治まで長く治めてきたのが、現当主で41代を数える旧大名家・松浦(まつら)家。2000年1月号掲載の「大名家の正月」の再録に新規取材を加え、大名家でかつて行われていた剛直かつ厳かな年迎えをご紹介します。前回の記事はこちら>>

博物館に伝わる歴史的史料から再現。『御祝帳』にみる大名家の正月迎え


現当主・松浦 章氏で41代を数える松浦家。嵯峨天皇の第18皇子である源 融(みなもとのとおる)公を始祖とし、鎌倉期に平戸に移った後、一度の国替えもなく続いてきた稀有なる旧大名家です。

『御祝帳』にみる大名家の正月迎え松浦家に伝わる源 融公の御真影。「陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑにみだれそめにし水ならなくに」の歌が百人一首に残されている。松浦氏の家紋の一つ、三つ星は公のもの。

代々の藩主は記録を残すことに熱心でした。特に、茶道鎮信流の祖である第29代鎮信(天祥)公をはじめ、城内に楽歳堂(らくさいどう)文庫や感恩斎(かんおんさい)文庫をつくった第34代清(静山)公や、梅ヶ谷津に偕楽園を残し、亀岡に棲霞園を完成させた第35代熈(ひろむ)(観中)公。さらに第39代陞(すすむ)(如月)公は、1955年に平戸が西海国立公園の指定を受けた際、財団法人松浦史料博物館を創設し、土地や建物、史料を寄付しました。


その史料の一つである『御祝帳』には、年間を通して御膳所で用意される御祝膳や料理が、彩りも鮮やかに描き込まれています。ところどころに説明も加えられ、当時の松浦家の年中行事を彷彿させる貴重な史料です。その『御祝帳』をもとに、大名家の正月膳を特別に再現していただきました。1メートルを超す三宝を用いるなど、豪華絢爛、驚きに満ちた膳やしつらいからは、かつての豪壮たる正月の雰囲気を感じることができます。

『御祝帳』にみる大名家の正月迎え
錫鉢に盛られた「御手掛」

年賀に訪れる客のために用意したという「御手掛」。松浦家では、錫鉢に米を盛り、ゆずり葉をつけた橙、みかん、昆布、熨斗あわび、焼き栗、干し柿をのせる。平戸では一般家庭でも内容を変えて御手掛を用意するといい、葉つきみかん、干し柿、するめ、昆布、長崎銘菓の一口香や丸ぼうろ、辻占などが一般的。

『御祝帳』にみる大名家の正月迎え
巨大な三宝に盛られた「お飾り」

「御祝二条大歳之夜上ル」と記された1メートルを超える三宝に、白粉餅、小豆餅、干し柿、橙を盛る。仕切りは白切り餅と小豆餅の長餅を使い、中央には丸餅が置かれる。左側の三宝の縁には米が盛られた杯が配される。『御祝帳』にはほとんど説明がなく、右図は「白切り餅」、左図は「白餅」と記されるなど統一がなされていない。

『御祝帳』にみる大名家の正月迎え神仏へのお供えと考えられる、堂々たるお飾り。梅ヶ谷津偕楽園内の殿さまの御座所上段の間に、向きを互い違いにして2台置かれた。
撮影/三笘正勝 取材協力/萬 眞智子
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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