追悼・柳原一成さん。秋の恵み「近茶流のご飯」

朝は炊きたて、晩は汁かけが江戸流。山吹飯～『名飯部類』より

写真2点/ともに佐伯義勝

近茶流が興った江戸期文化・文政の頃は、自由闊達な町人文化が花開き、料理指南書も大流行しました。その時代の料理も、柳原一成さんが終生探究し続けたテーマの一つ。享和2（1802）年に刊行された日本初のご飯本『名飯部類』から、今様に再現してくださったのは「汁かけ飯」。「江戸の人々は朝一番にお米を炊いて、あつあつご飯で朝ご飯、そして晩にはそのご飯に汁をかけ、温かくして食べていたようです。江戸っ子はご飯も宵越しにしないんだね（笑）」。（2008年6月号）


山吹飯
材料（作りやすい分量）と作り方
（1） 固めのゆで卵を作り、黄身だけ取り出して裏ごしをする（黄身1個分で2人分が目安）。
（2） かけ汁を作る。だし3カップを温め、塩小さじ1/2、醤油小さじ1で味をととのえる。
（3）器に白いご飯をよそい、（1）と（2）をかけ、切った三つ葉を添える。

※『名飯部類』の原文には「芹三つ葉の類を微塵に刻み」とある。芹ならばみじん切りがおすすめだが、三つ葉は細かく切らないほうが美しい。