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健康長寿を目指すために。知っておきたい「ビタミンの新機能」と次世代成分「NMNの可能性」【動画あり】

2022.08.31

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2022年8月4日に行われた「日清ファルマ×家庭画報.com 最先端エイジングセミナー」では20名の参加者とともに、将来の健康のために大切な最新トピックスを東北大学大学院 農学研究科の白川 仁教授と日清ファルマ研究員の大西圭悟さんから学びました。講演の内容をダイジェストで紹介します。また実際の講演内容は動画でもご覧いただけます。

自分らしい人生を送る「プロダクティブ・エイジング」の時代へ


年齢を重ねることを前向きに捉え、自分らしい人生を全うしていく「プロダクティブ・エイジング」という考え方があります。長寿時代の到来で、“年齢を重ねても自分らしく、いきいきと過ごすこと”はますます重要なテーマとなりました。

今回のセミナーのゲストで、栄養化学、分子栄養学を専門とする東北大学大学院 農学研究科の白川 仁教授は「大切なのは、健康寿命を延ばすこと」といいます。




東北大学大学院 農学研究科の白川 仁(しらかわ ひとし)教授
1988年東北大学大学院農学研究科博士前期課程修了。東京理科大学基礎工学部助手、米国国立癌研究所博士研究員、東北大学大学院農学研究科助手、助教授、准教授。2019年より東北大学大学院 農学研究科教授。台北医学大学客員教授。専門は栄養化学、分子栄養学。共著に『ビタミン総合事典』(朝倉書店)など。

「健康寿命とは、“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”のこと。過去20年間で男性も女性も平均寿命、健康寿命ともに延びていますが、女性ではその差が12年以上も開きが。つまり12年以上寝たきりや要介護などで不自由な生活をしているというのが実態です」(白川先生)

このダイジェストを通して、健康寿命を延ばしていきいきと年齢を重ねるために大切なポイントを学んでいきましょう。



プロダクティブエイジングを目指すための3つのトピック


1.最新研究から学ぶ「老化研究の最前線」
2.明かされつつある「ビタミンの新たな機能」
3.世界の研究者が注目する次世代成分「NMNの可能性」





1.最新研究から学ぶ「老化研究の最前線」


「いままでは生理的な現象と捉えられていた老化が、最近になって実は“病気のひとつではないか”と考えられています。それは老化細胞が病気の原因に関係しているから。

細胞はストレス(過栄養、薬物、紫外線などの環境因子によるもの)を受けると老化して炎症性のタンパク質を放出するのですが、それら※1が、糖尿病や動脈硬化、認知症などを引き起こすことが分かっています。つまり、悪さをする老化細胞を除去することで、病気を回避できるということです。

実際にGLS1阻害薬という薬で老化細胞が除去されることがマウス実験で示されました。既に抗がん剤として開発が進んでいる薬なので、近い将来に“老化細胞を除去する薬”としても使われるのではないかと期待しています」(白川先生)
※1 SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype)炎症性因子。



白川教授の講演のスライド資料より。細胞はストレスを受けると老化して炎症性のタンパク質を放出する。

もう一つは「食事制限によって健康寿命が延びるかもしれないと考えられています。昔から“腹八分は医者いらず”と言われてきましたが、最近ヒトでの研究で、カロリー制限が寿命を延伸する可能性があることが分かり始めています。

14%食事量を減らすことで、炎症が抑えられました。しかし14%のカロリー制限はなかなか難しいので、それ以外の方法としては、レスベラトロールやNMNという成分※2を摂ることでカロリー制限をした場合と似た効果を出すことが分かっています」。

※2 レスベラトロールは赤ワインに含まれるポリフェノールのひとつ。NMNについてはポイント3で解説します。

2.明かされつつある「ビタミンの新たな機能」




ビタミンB群を豊富に含む豚肉は、疲労回復やアンチエイジングに欠かせない食材。写真はイベント特別コースより「五島美豚のグリルと自家製ベーコン 五島パプリカのピューレ」。

先生の研究分野である「ビタミン」についても“健康寿命の延伸”に関する新たな機能が分かり始めています。

「私がビタミンを専門に研究している理由はその安全性にあります。最初のビタミンは約110年前に発見され、研究が十分にされて安全性が確かめられているので、新しい作用が分かれば“非常に扱いやすく安全性が高い薬”として使えてくるメリットがあります。

特にビオチンとビタミンKが生活習慣病に有効かもしれないことが分かってきました。ビオチンは、研究室での実験で高血圧症の改善と肥満性の糖尿病の改善を新しい作用として初めて示すことができました。

ビタミンKの新たな機能としては、生活習慣病の背景になっている炎症を抑制することが分かり、これは認知症や神経変性疾患の予防の方向に働くと考えています。また、Ⅱ型糖尿病のリスクが低減することも大きな発見でした」

それぞれの実験の詳しい内容は動画でご覧いただけます。ビタミンのさらなる機能性の追求は、健康寿命の延伸に繋がる鍵になりそうです。

3.世界の研究者が注目する次世代成分「NMN」の可能性


3つ目のトピックは、いかに健康で長生きをするかという観点で世界中の研究者から注目されている、次世代成分の「NMN」について。日清ファルマの研究員大西圭悟さんにお話しいただきました。



日清ファルマ 研究員 大西圭悟(おおにし けいご)さん
小麦粉のリーディングカンパニーとしておなじみの日清製粉グループ・日清ファルマは100年以上にわたり健康に関する研究開発への挑戦を続ける「健康実感パートナー」。世界で初めてコエンザイムQ10の量産化に成功するなど、いつの時代も確かな品質で多くの方の健康を支えています。

「NMNはあらゆる生物の細胞に存在している成分でビタミンB3(ナイアシン)から作られます。なぜ次世代成分と呼ばれるほど注目されているかというと、生物にとって必須の成分NADに大きく関わっているからです。

NADは細胞がエネルギーを生み出す際に中心的な役割を果たす大事な成分ですが加齢とともに減少するので、体内でNADに変換されるNMNを摂取することが重要に。

さらに、『長寿遺伝子』が働くためにもNADが必要になります。健康寿命との関連が分かっている『長寿遺伝子』が活性化することで体のなかで健康にいい変化が起こると期待されています。また、NMNは脳機能、血糖、血管機能、目の健康に役立つ可能性も示唆されています。

これまでヒト以外の試験で評価されてきた機能も、2019年から少しずつヒトでの研究結果が報告されていて、血糖値や睡眠、身体活動といったさまざまな研究が現在進行で進んでいます」(大西研究員)

今後も「NMN」の新しい可能性が明らかになっていくことが期待されます。


講演の内容を動画で見る


下の動画では、東北大学大学院 農学研究科の白川 仁教授と日清ファルマ研究員の大西圭悟さんの講演の内容をご覧いただけます。

イベントの様子は下のフォトギャラリーで詳しく紹介します。
撮影/伏見早織
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