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骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう

2022.08.24

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第4回(02) 更年期を境に“守り神”のエストロゲンを失っていく女性の体は、急速に変わっていきます。なかでも骨量と筋肉量が減り血管が衰えていく変化は、すこやかな加齢を妨げる最大の要因に。“骨と筋肉と血流”の健康を保つことの大切さを知り、日々の生活を見直しましょう。前回の記事はこちら>>

更年期以降の新たなステージをどう過ごすか
女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱


●前回の記事
更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です

天野惠子(あまの・けいこ)先生

天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

動ける体の要は「骨と筋肉」
何歳からでも維持でき、増やせる骨と筋肉の量


エストロゲンには破骨細胞が古い骨を分解する働きを調整する作用があり、それによって女性の骨量は維持されていました。

更年期以降は破骨細胞が活性化し、骨芽細胞が新しく骨をつくる働きを上回るため骨量は急激に低下。

若年成人平均の70パーセントを下回ると骨粗しょう症と診断され、骨折のリスクが高まります。また、骨を支える筋肉の量も減少し、筋力が低下したり歩くのが遅くなったりします。

骨量も筋肉量も鍛えれば何歳からでも維持したり増やすことができます。まずは運動、そして十分な栄養摂取が重要です。

【骨】


年齢と閉経に伴う骨量の変化

折茂 肇監修『骨粗鬆症 検診・保健指導マニュアル第2版』2014(ライフサイエンス出版)をもとに作成。

骨量は20歳頃に最大となり、40歳代半ばまでほぼ一定に維持され、女性は閉経前後の数年間に急激に減少する。成長期に丈夫な骨をつくり、最大骨量を上げておくことが大事だ。

骨量が減少すると...
【骨粗しょう症】

骨のカルシウム量が減少し、骨の中がスカスカでもろくなった状態。軽い転倒でも骨折のリスクが高まる

【筋肉】


年齢ごとの筋肉量の値

谷本芳美・渡辺美鈴・河野 令・広田千賀・高崎恭輔・河野公一 「日本人筋肉量の加齢による特徴」『日本老年医学会雑誌』2010;47:52-57をもとに作成。*筋肉量はBIA法(生体電気インピーダンス法)による測定値

女性の筋肉量(全身)は50歳頃まで横ばいで推移し、それ以降減少していく。

筋肉量減少すると...
【サルコペニア】

筋肉量が減り、筋力や歩行速度が落ちた状態。腰や膝の痛み、背中のゆがみの原因にもなる

骨粗しょう症、サルコペニアが進行すると...


●ロコモ(ロコモティブシンドローム)
運動器の機能が低下し、移動が不自由になる

●フレイル
老化に伴い抵抗力が弱まり体力が低下した状態。放っておくと要介護状態になる

骨量と筋肉量は、何歳からでも改善が期待できる!
骨粗しょう症とサルコペニアの対策


骨粗しょう症とサルコペニアの対策

体が動けば趣味も広がり社交性も保ちやすい。認知症予防のためにも足腰は鍛えたい。

【骨粗しょう症】の対策
骨に負荷のかかる運動(「かかと落とし」など)をする、骨の成分となるカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンDを積極的に摂取する、日光に当たる(体内でビタミンDがつくられる)、など

【サルコペニア】の対策
筋肉を強化する運動(スクワット、ストレッチなど)をする、筋肉のもととなるたんぱく質を十分に摂取する、魚や大豆製品だけでなく肉類もバランスよく摂る、など



骨格筋で作られるホルモンが心臓を保護


2018年、名古屋大学大学院医学系研究科の研究チーム(*)が、骨格筋(体を支え、動かす筋肉)でつくられるホルモンのマイオネクチンが心筋組織に作用して細胞死や炎症反応を抑制し、虚血性心疾患からの保護作用があることを動物実験で明らかにした。またマイオネクチンはウォーキングなど持久力を高める運動によって増加することもつきとめた。

*分子循環器医学寄附講座大内乗有教授、循環器内科学室原豊明教授・大高直也氏らのチーム








*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 動ける体の要「骨量と筋肉量」は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」(8/31公開予定)
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」(9/7公開予定)
撮影/鍋島徳恭 イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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