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ヨーロッパ文化の美が宿る「タロット」。人々の心をつかんでいるのはなぜ?

2022.06.17

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タロットの美しさに秘められたメッセージ

18世紀のオカルト学者、エベネザー・シブリーの『医術とオカルト科学への鍵』の扉絵。魔術的な雰囲気が漂う。神学と医学、自然哲学を融合しようとした(鏡リュウジ蔵)。

ところで、このタロットとはそもそも何なのか。


タロットの誕生の地は北イタリアのルネサンス都市である。当時、文化的先進国であったイスラム世界から西ヨーロッパが、最先端のファッショナブルな遊びとしてカードを受容したのがそれに先立つ14世紀。それは現在のトランプの原型となる、4つのスート(マーク)と人物札からなるゲームであった。

そして15世紀半ば、貴族の宮廷でさらにゲームを複雑にするためであろうか、「愛」「死」「運命の輪」「女教皇」といった切り札……現在、「大アルカナ」と呼ばれる寓意札が追加されて現在のタロットが発明されたのだ。

最初は貴族たちの贈答品として用いられるほど貴重で高価な手描きの「一品もの」であったタロットであるが、すぐに安価な木版となって大量に生産されヨーロッパ中に普及してゆく。ただし、それは今のような占いのためのものでも、オカルト的な意味合いを持つものでもなく、もっぱらゲーム用としてである。

しかし、タロットの寓意画には、ルネサンスにおいて復興したギリシャ・ローマの伝統からの素材が採用されており、その背景にはヨーロッパの文化の豊かさがにじみ出ている。

豪華な手描きの細密画のタロットには絢爛たる、そして大衆のための素朴な木版画には独特の魅力が存在する。

庶民向けの木版画タロットの多くは現在「マルセイユ版タロット」と呼ばれている。特にマルセイユ起源というわけではないのだが、主要な産地の一つであった港町の魅力的な響きが20世紀に商品名として採用されたのであろう。

では、このようなゲーム用のタロットはいかにして今のような「神秘的」な存在へと変貌していったのであろうか。

その鍵を握る人物の名はクール・ド・ジェブラン。フランス革命前夜、パリで活躍した百科全書派の学者である。

後編は6月20日(月)配信予定です。

下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。

鏡リュウジ(かがみ・りゅうじ)

心理占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学大学院修了。英国占星術協会会員。占星術の心理学的アプローチを日本に紹介。タロット、神話などにも精通し、占星術の歴史にも造詣が深い。著書・訳書多数。





〔特集〕鏡リュウジ 心の扉を開く タロットと占星術



01 「名画に隠れた占星術の世界観」

02 ヨーロッパ文化の美が宿る「タロット」





この特集の掲載号
『家庭画報』2022年7月号



『家庭画報』2022年7月号


文/鏡リュウジ 浅島尚美〈説話社〉 撮影/本誌・西山 航、大見謝星斗 撮影協力/ニチユー 東京タロット美術館 LECURIO 構成/三宅 暁〈編輯舎〉
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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