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落合恵子さん「立ち直れないとさえ思った心を本が救ってくれた」。喪失の哀しみに寄り添う本

2022.06.13

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詩ふたつ詩人・長田 弘さんが、余命短い妻のために作った詩集『詩ふたつ』(クレヨンハウス)。表紙や挿絵はクリムト。

哀しいときは、どっぷり哀しみに浸っていい


「“一人のわたしの一日の時間は、いまここに在るわたし一人の時間であると同時に、この世を去った人が、いまここに遺していった時間でもある”という言葉です。母が逝ってからのどうしようもない寂しさに、この本を読んでは仕事に行き、帰ったらすぐさまこのフレーズの中に入る、という生活を続けました」





【長田 弘さんの詩集『詩ふたつ』のあとがき → 恵子さん】落合さんの一番の支えとなった詩人、長田 弘さんの詩集から。2010年出版。

一人のわたしの一日の時間は、いまここに在るわたし一人の時間であると同時に、この世を去った人が、いまここに遺していった時間でもあるのだということ。


「詩人の長田さんから『詩集を作りたい。急ぎなんです』。母を看取った経験者の私には、その意味がすぐわかってしまいました。毎日、毎日、詩とあとがきを読んでどれだけ心を支えてもらったことでしょう」




やがて前を向けるようになった落合さん。「ゆっくりと光が射し込むように。今でもふと手にとります。昨今、社会にはやたらとポジティブに生きるべきと煽(あお)る傾向がありますけど、哀しみは無理に癒やそうとしなくていい。哀しいときはどんどん哀しみに浸っていいと思います。人間にとっては哀しみも、とても大切なもの。それが人生を深いものにしてくれるのではないでしょうか」

母が大切に使っていた妹(落合さんの叔母)・照恵さんの手鏡に時折触れたり、独立して一人暮らしを始めてから届いた母の手紙を、読むこともあるといいます。

「たった一行、『身体に気をつけなさい』と書いてあるだけだったりするのですけどね。だからなおさらその言葉が沁みるんです。私の負担にならないよう、適度な距離をとり続けていた母らしい。

何をどうしたということではない、当たり前の人生の、当たり前の凄さ、のようなものを教えてもらったと思っています。心の中で毎日、返信していますよ。『元気でやっています』と」
撮影/鍋島徳恭 取材・文/水田静子 構成・取材・文/小松庸子

『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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