【6月の食養生】
◆利尿作用のある薏苡仁(よくいにん)のお茶
梅雨どきには、汗を出すと同時に利尿作用のあるお茶で体の湿気対策を。
<作り方>
600mlの水に大さじ3杯の薏苡仁(ハトムギの殻をむいたもの。漢方薬局などで扱っている)を加え、沸騰したらとろ火で30分煮出す。大さじ1杯の小豆を加えると利尿作用がさらに増す。好みで少量のはちみつを加えてもよい。
◆陳皮(ちんぴ)や大棗(たいそう)をお茶に入れ食欲増進
湿気によるおなかの張りや食欲不振にはお茶の芳香の力を借りましょう。
たとえばウンシュウミカンの皮を乾燥させた陳皮は胃腸の働きを高め、食欲不振や風邪に効果があるとされ、大棗(乾燥ナツメ)も胃腸障害による食欲不振を和らげる作用があります。
紅茶などに陳皮や大棗を好みの量加えます。しばらく蓋をしておくと芳しい香りが立ち、嗅覚を刺激し、食欲も高まります。無農薬のミカン、夏ミカン、ダイダイなど柑橘系の果実の皮を陽に当てて乾燥させれば、自家製陳皮のでき上がりです。
【漢方薬局だより】
水分を摂りすぎていませんか?健康相談で「だるい、疲れやすい、足がむくむ、息が切れる」などと訴えるかたの多くが、実はかなり水分を摂りすぎています。一日に3~4リットル飲む人もいて、水をたくさん飲めば血液がサラサラになって脳梗塞や心筋梗塞を予防できると思い込み、無理して飲んでいるというのです。
それは大きな誤解。日本泌尿器科学会も「科学的根拠はない」と統一見解を発表しています。中国医学では水分が必要以上に体内にたまった病的状態を「水毒(すいどく)」といいます。冒頭の症状はいずれも水毒によるもの。実際、水分を控えただけで「楽になった」と喜ばれるかたが後を絶ちません。
血液をサラサラにするなら脂肪を控え、緑黄色野菜やタマネギを摂るなど食養生で。水分は喉が渇いたら体が要求する量だけ飲めばよいのです。
〔解説してくださったかた〕横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。1969年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行う。(社)日本漢方連盟理事長。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。著書多数。 撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。