剣心が抱いている思いを音楽に乗せて届ける
脚本・演出を手がける小池修一郎さんとは、2016年と2018年に帝国劇場で上演された『1789 ─バスティーユの恋人たち─』で共同作業を経験済み。今回の作品作りについての心境も伺った。
「小池先生が手がける作品だからこそ絶対に面白くしてくれるだろうという期待があります。IHIステージアラウンド東京という特殊な劇場を生かしつつ、ミュージカルと芝居をうまく融合してくださるのではないでしょうか。小池先生は漫画の原作に沿った脚本をお書きになっていて、和月（伸宏）先生の書かれた台詞へのリスペクトがあるので、そのまま脚本に引用されているものもあります。
僕自身も原作のファンとして剣心のイメージがあるんですが、僕が思い描いている剣心をミュージカルとしてどんなふうに歌に気持ちを乗せて表現できるのか、まだ稽古が始まったばかりなのでわかりません。でもメロディに乗せて届く台詞というのはすごくいいものなんですよね。殺陣で魅せる闘いだったり、メロディに乗せて思いをぶつける闘いだったり、そうした表現ができるのは、ミュージカルの『るろうに剣心』だけだと思うので、それも見どころの一つですね」
今年で俳優デビュー20周年を迎えた小池さんにはその輝かしいキャリアのなかで、“新しい自分”を発見できたような出来事はあったのだろうか。
「シンプルなことですが、僕は役を通して歌うほうが楽しくて、とても歌いやすいんです。変に緊張することもない不思議な感覚に陥ることがあります。歌うことで気持ちを吐き出すようなイメージに近いのかな。歌に気持ちが流れるように乗ったりするのは自分にとって新しい発見だったのかもしれません。だから剣心として歌を歌えることもすごく楽しいんです。そうした経験を積み重ねてきた僕が20年前の自分に伝えるとしたら、“いろんな仕事をさせていただくけれど、全部がつながっているから、何も間違ってはいないよ”でしょうか（笑）」
人とのつながりも大切にする小池さんは共演者からの信頼も厚い。ハードな日々が待ち受ける今、どんなことを心がけて過ごしているのだろうか。
「舞台のときは喉のケアをして体調管理に気をつけています。もう一つはお酒が好きなので毎日晩酌をすること。翌日に影響しないぎりぎりなところまで飲むんです。そういうメリハリがあることが頑張るための秘訣です」
小池徹平／こいけ・てっぺい
1986年、大阪府出身。2001年に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。その後、ウエンツ瑛士とともに音楽ユニット「WaT」を結成し、2016年まで活動。以後、音楽活動はもとよりテレビドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。2013年に宮本亞門演出の『メリリー・ウィー・ロール・アロング〜それでも僕らは前へ進む〜』でミュージカル初主演を務める。2016年に『1789─バスティーユの恋人たち─』『キンキーブーツ』で菊田一夫演劇賞を受賞し、ミュージカル俳優としての地位も確立した。
ミュージカル
『るろうに剣心 京都編』
© 和月伸宏／集英社和月伸宏原作『るろうに剣心─明治剣客浪漫譚─』は1994年から『週刊少年ジャンプ』（集英社刊）で連載され、明治時代を舞台にオリジナルのストーリーと史実を絡ませた剣劇漫画。アニメ、小説、実写映画などのメディアで展開してきたなかで特に人気の高い“京都編”を小池修一郎が新作として脚本を書き下ろし、演出を手がけてミュージカル化される。出演は小池徹平、黒羽麻璃央、松下優也、加藤清史郎、岐洲 匠、奥野 壮、井頭愛海、鈴木梨央、伶美うらら、山口馬木也、加藤和樹ほか。
IHIステージアラウンド東京〜2022年6月24日
１万4500円（全席指定）
ステージアラウンド専用ダイヤル：0570（084）617（11時〜16時30分）
URL：
https://www.ruroken-musical.com/表示価格はすべて税込みです。
撮影／岡積千可 構成・文／山下シオン ヘア＆メイク／宮内宏明〈M's factory〉 スタイリング／松下洋介
『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
