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五木寛之さん「モノとの出会いは一期一会。モノのほうが僕の襟首をつかまえる」

2022.05.25

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[特別インタビュー]五木寛之への10の質問 第2回(全5回) 1月に上梓されて以来、10万部を超えるベストセラーとなった五木寛之さんの『捨てない生きかた』。“捨てない”ということを主題に、個人としての生き方から、国家論・文明論まで展開する同書。五木さんがこの著書で語る“捨てない”という言葉に込めた真のメッセージを10の質問から紐解きます。前回の記事(Q1、2)はこちら>>

Q3 五木さんにとって、いちばん大切なガラクタはなんでしょうか?


五木 1番、2番というランクはつけられません。そのときどきで変わるからです。僕は、モノとは一期一会の出会いだと思っています。モノを買うときには、無限にあるバリエーションの中から、自分が選ぶという一方的で優越感のあるものではなく、モノのほうからこちらへ来てくれるという感覚が強い。モノのほうがこちらに手を伸ばして、襟首をつかむという表現のほうが正しいかもしれません。僕は、この状態を“他力”と呼んでいます。

そんな出会いを象徴する靴が2足あります。ひとつは、1968年のパリで起こった五月革命のときに出会ったロンドンブーツです。五月革命は、戦後のフランス史の中でも、記録に残る大事件で、当時のド・ゴール大統領がアルジェリアからパラシュート部隊を呼び寄せて、学生を弾圧したぐらいの騒乱でした。パリの中のエッセンシャルワークが止まり、パリ中が腐ったようなにおいを放っていたのを覚えています。学生街の左岸では、歩道の敷石がすべて剝がされ、催涙弾の煙が立ち込めていました。

有名ブランドのブティックも一斉にシャッターを下ろしている中、唯一、「フランソワ・ヴィヨン」という一軒の靴店が開いていたんです。そのブランドは知らなかったけれど、誘われるようにのぞいてみると当時一世を風靡したロンドンブーツがありました。


そのブーツにジッパーがついていて、見たらYKKと書いてあった。愛国心が刺激されましたね。五月革命の真っ最中に、たまたま開いていたお店で、YKKというのは縁だと思い、大枚をはたいて買いました。パンタロンではないと似合わない靴なので、まだ一度も履いていないけれど、部屋の隅に転がっています。このブーツを見るたびに、あのパリの騒乱の巷がまざまざと甦り、あれは夢ではなかったんだと思います。
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