「体を動かせば、脳も活性化されます。認知症予防のためにもぜひ！」── 森谷先生
衣装協力（松岡さん）／ミズノ体が締まれば心も前向きに。質のいい人生を目指して
松岡 今は昔と違って、YouTubeに筋トレのやり方を教えてくれる映像もたくさんありますし、自宅でも気軽にできますよね。運動を始めて、自分の体が変化してくると、自信が出てくると思うんです。
森谷 それは大いにありますね。鏡を見て引き締まってきた体を見れば自信が湧いて、ポジティブな気持ちになれます。あと最近わかってきたのが、筋肉を使って運動すると、神経細胞が増えて認知症の予防や改善になるということです。脳のためにも、ぜひ筋肉を大事にしてほしいです。よく「膝が悪いから運動できません」といわれるかたがいますが、椅子に座ったまま脚を上げるくらいならできますよね？ たとえば、それをテレビを観ているとき、CМの間だけやるとか、そんなことでもいいわけです。
松岡 なるほど。実はお話ししながら、先生のように身振り手振りの多いかたは初めてだと思っていましたが、絶えず運動されているのですね！
森谷 あはは、そうです。いい姿勢でジェスチャーをたくさん、大きく。全部筋トレになります。
「筋肉は年々減るけれど、運動すれば増やせる。勇気をもらいました」── 松岡さん
松岡 いいことを聞きました！これからは僕も絶えず動いている人になろう（笑）。この記事を読んで運動しなきゃと思い始めた人に、最後のひと押しとなる言葉をいただけませんか。
森谷 思うに、運動しない人の多くは、なぜ運動が大事かをわかっていないか、漠然としかわかっていないんですね。筋肉を鍛えることが自分の健康長寿に直結していると知れば、動き出せると思うんです。そういう人には、「変化のないところに成長なし」と伝えたいですね。何か1つでいい。駅では必ず階段を使うようにするとか、1つ変えれば、必ず効果を実感できます。
松岡 ありがとうございます。先生は71歳とは思えない筋肉をお持ちで、きっと百寿者になられると思うのですが、ご自身ではどう思われますか。
森谷 たぶんなれると思います。栄養、運動、健康科学の専門家が長生きできなかったら意味がないので（笑）。血圧やコレステロールなどの数値もA判定ですし、医者の友達からも「100まで生きそうだね」といわれています。ただ、何歳までというよりは、質のいい人生を送りたいですね。
松岡 僕も質のいい人生を送るために、筋肉を大事にします！
修造の健康エール
スクワットや腕立て伏せを軽々とこなし、大きな声で朗らかに語り、笑う。70代でこれほど元気なかたはなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。お話は「京大で受けたい授業No.1」に選ばれたのも納得の、面白く、勇気をいただくものでした。
先生は最近、世間の筋肉への関心が高まっているのを感じているのだそうです。「社会の超高齢化が進むなか、元気な100歳になるには自分の足腰が丈夫であることが必須だと考える人が増えているのでしょう」。
最後に「筋肉に対していいたいこと」を尋ねると、「ありがとうしかないですね。筋肉があるおかげで、行きたいところに行けるのですから」とのお返事。確かに！ みなさんも、自分の筋肉に「ありがとう」ということから始めませんか？。
松岡 修造（まつおか・しゅうぞう）
1967年東京都生まれ。1986年にプロテニス選手に。1995年のウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長としてジュニア選手の育成・強化とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、フジテレビ『くいしん坊！万才』などに出演中。大人気シリーズ『修造日めくり』の最新作『まいにち、つながろう 心と心はノーディスタンス』は全ページ本人による音読（QRコード）付き。ライフワークは応援。
撮影／鍋島徳恭 ヘア＆メイク／大和田一美〈APREA〉（松岡さん） 取材・文／清水千佳子
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
