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山菜のおいしさがわかったら、大人になった証拠。体が喜ぶ小鉢2品を紹介します

2022.04.17

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

山菜・春菜の煮もの、酢味噌和え


山菜・春菜の煮もの、酢味噌和え

年齢を重ねるとともにおいしく感じるようになるのが山菜です。山菜の味や香りに、子どもの頃に野山で摘んだ懐かしい記憶を呼び覚まされる方もいらっしゃるでしょう。いろいろな食経験・人生経験を重ねて嗜好が若い頃と変わり、山菜のおいしさに気づいたという方もいることでしょう。今日は山菜をさっと炊いて楽しみます。

今回はたらの芽、こごみ、アスパラガスを炊きますが、わらび(「わらびの煮もの」参照)やうるい、うど、根三つ葉などを加えてもよいでしょう。


この料理はさっと炊いて煮えばなを味わいます。あらかじめ炊いて味を含ませると、山菜それぞれの持ち味や風味が薄れて、どれを食べても同じ味や食感になりかねません。

人間は食べものを口に入れると、舌の表面や口腔内にある味蕾(みらい)で味を感知しますが、年を取ると味蕾が減少します。個人差はありますが、高齢者は新生児に比べると3割から5割ほど味蕾が少ないともいわれ、どんなに健康な人でも味覚が低下します。

中でも「塩味」「甘み」に対する味覚の低下は著しく、本能的に食べものが腐敗していないか判断する「酸味」と、毒がないか判断する「苦み」に対する味覚は低下しないようです。ですから、年齢とともに苦みを感じにくくなったので、山菜をおいしく感じるようになる、というわけではないようです。

また、人が感じるおいしさは味蕾からの感知だけではなく、食べものの香りや舌にのったときの食感、熱いか冷たいかという温度にも左右されます。冒頭で述べたノスタルジックな記憶ではありませんが、心理的要因も大きな影響を与えます。

野菜料理は健康のためとか、ベジタリアンだからというような義務感に近い動機で食べるとあまりおいしくありません。野菜や山菜を好むようになるのは、意識するかしないかは別として、自然な体の欲求や味覚の変化、場合によっては精神性の変化によるものではないかと私は思います。体と心の声を聞いて野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「山菜・春菜の煮もの」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・沸かした煮汁に山菜と春菜を加え、さっと炊いて煮えばなを食する

・ホワイトアスパラガスは、むいた皮の風味と甘みを移した湯で柔らかく茹でる

たらの芽は少し苦みがあるので下揚げする。煮汁に油分が加わり他の食材もおいしくなる。

・「山菜・春菜の酢味噌和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・たらの芽は下揚げすると苦みがやわらぎ、旨みが増す。

・和えものは時間の経過とともに水っぽくなるので、具材と酢味噌は食べる直前に和える







山菜・春菜の煮もの、酢味噌和え

「山菜・春菜の煮もの」(手前)


【材料(2人分)】
・たらの芽 4個

・こごみ 2本

・ホワイトアスパラガス 2本

・グリーンアスパラガス 2本

・揚げ油 適量

・出汁 400cc

・日本酒 大さじ2

・塩 米4粒分

・みりん 小さじ2

・濃口醤油 小さじ2弱

・薄口醤油 小さじ2

・木の芽 6枚

【作り方】
1.たらの芽の下処理をする。たらの芽は、はかまの部分を包丁でむいて、火が通りやすいように切り口に6mm深さほどの十字の切り込みを入れる。「春菜の酢のもの、辛子白和え」の「ひと目でわかるプロセス&テクニック」も参照。フライパンに揚げ油を入れて170℃に熱し、たらの芽をさっと揚げ、クッキングペーパーにとって油を除く。

2.ホワイトアスパラガスの皮をむく。折れやすいのでまな板の上に置いて、真ん中より少し上あたりから根元までピーラーで皮をむく。皮の下にある堅い部分も除く。むいた皮は取っておく。

3.ホワイトアスパラガスを茹でる。ホワイトアスパラガスを横にして入るくらいの鍋に、アスパラガスがつかるくらいの水とむいた皮を入れて火にかけ、沸いたら弱火にして3〜4分茹で、皮に含まれているアスパラガスの風味と甘みを茹で湯に移す。途中であくをすくい取る。ホワイトアスパラガスを入れ、落し蓋代わりに皮をかぶせて茹でる。あくをすくいつつ、柔らかくなるまで3〜5分茹でる。「アスパラガスの塩麹和え」の「ひと目でわかるプロセス&テクニック」も参照。根元の堅い部分を切り取り、4.5cm長さに切る。

4.グリーンアスパラガスはまな板の上に置いて、真ん中から根元までピーラーで皮をむく。皮が堅いものは厚めに、新鮮で柔らかいものはできるだけ薄く皮をむいて4.5cm長さに切る。こごみは根元の堅い部分を切って、4.5cm長さにする。

5.鍋に出汁を入れ、火にかけてすべての調味料を加える。沸いたらグリーンアスパラガスとこごみを加えて30秒炊き、続いてたらの芽とホワイトアスパラガスを加える。1分30秒ほど炊いたら火からおろす。たらの芽、ホワイトアスパラガス、グリーンアスパラガスをそろえるように器に盛る。こごみは2枚にスライスし、断面を上にしてのせる。煮汁を少々かけ、木の芽を散らして供する。

「山菜・春菜の酢味噌和え」(奥)


【材料(2人分)】
・たらの芽 2本

・こごみ 2本

・うるい 40g

・土佐酢 適量
出汁4:薄口醤油1:みりん1:酢1の割合

・酢味噌 大さじ2(好みで)
玉味噌(白) 30g(作りやすい分量:西京味噌500g、卵黄5個、砂糖30g、日本酒200cc
生姜味噌」参照)、レモン果汁小さじ1/2、酢小さじ1/4

・みょうが(せん切り) 1/2個分

・みょうが甘酢漬け(大きな皮) 4枚 「みょうがの甘酢漬け」参照

【作り方】
1.たらの芽は「山菜・春菜の煮もの」の1と同じように下処理して下揚げする。

2.こごみは根元の堅い部分を除いて、4.5cm長さに切る。うるいも4.5cm長さに切る。こごみとうるいをそれぞれさっと茹で、冷水に放してざるに上げ、水気をきる。

3.たらの芽、こごみ、うるいをボウルに入れて土佐酢をまぶして洗う。ざるに上げて酢をきったら、クッキングペーパーでさらに水気を除いてボウルに戻す。酢味噌を加えて和え、器に盛る。みょうがの甘酢漬けを添え、みょうがのせん切りをのせて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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