【守りたい日本の鳥】奥ゆかしく、なかなか出会えない日本だけのサギ「ミゾゴイ」

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森の中に朱く佇む、日本で最も鷺らしくない鷺

選・文＝川上和人（鳥類学者）

水田にいない。白くない。首もくちばしも短い。群れにならない。森の中でひっそりくらし、好物は魚ではなくミミズ。いわゆるサギのイメージとはかけ離れているが、ミゾゴイは日本だけで繁殖するサギである。



wada goichi/Nature Production /amanaimages

警戒心が強く、人が近づくと枝の上で息を潜める。羽色は保護色となり忍者のように姿を消す。この奥ゆかしさゆえミゾゴイの知名度は低い。しかも個体数は激減しており、なかなか出会うことができない鳥だ。



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ともあれ彼らは全国の里山におり、民家のすぐ裏に巣を作ることもある。4、5月の日没後には蛙の合唱を背景によく通る声で「プゥー、プゥー」と鳴く。機会があれば、少し耳を澄ませてみてほしい。これは日本だけで聴ける音色なのだ。