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3月の本膳料理。西京味噌と信州味噌を使った、2種類のアスパラガスの味噌汁を紹介します

2022.03.25

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

3月の野菜本膳、アスパラガスの味噌汁2種


3月の野菜本膳、アスパラガスの味噌汁2種

3月の野菜本膳を紹介します。3月にお教えしたレシピを中心に組んでみました。献立は飯:たけのこ飯、汁:アスパラガスの味噌汁(本日紹介します)、平椀:木の芽田楽、ふきのとう田楽そら豆翡翠煮、坪椀:春菜の酢のものになります。今日は汁の一品、アスパラガスの味噌汁を紹介しましょう。

物心ついた時から我が家の食卓にあった味噌汁。母の味、家庭の味というと味噌汁を挙げる人も多いようです。この連載でも「フルーツトマトの赤だし」以来、多くの味噌汁を紹介してきました。「御」を3つもつけて「御御御付け(おみおつけ)」とも呼び、「かちんがゆ」でお話しした御所言葉(ごしょことば。宮中や院に仕える女官たちが使っていた話し言葉)から派生し、今では主に東日本で使われます。


味噌汁の起源は鎌倉時代。それより以前の味噌は「なめ味噌」が主流で、食べものにつけたりして食べるご飯のおかずでした。その後、中国からやって来た僧がすり鉢を伝えたことで、味噌をすり、調味料として使うという工夫が考えられました。その延長で味噌汁が生まれ、一汁一菜の食事の基本スタイルとなりました。

庶民が味噌や味噌汁を口にできるようになったのは、室町時代になってからといわれます。江戸時代には味噌汁のバリエーションが増え、農山村では野菜やきのこ類、海辺では魚や海藻などを具材にしたようです。食料がなく、おかずが作れなくても味噌汁だけは作ってきたという先人の食の歴史が、現代まで続く味噌汁人気の背景にあるのでしょう。

味噌汁の塩分が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。かといって味噌の量を極端に減らすと、もの足りない味になり満足感が得られません。そんなときは旨みを上手に活用します。塩分の一部を旨みで代えると、元々のおいしさを失わずに塩分量を減らせることが科学的にも証明されています。出汁を濃くとって、旨みのある具材にすれば、味噌を減らしてもおいしくなります。

数ある日本の調味料の中でも、味噌ほど地域性が強いものはないかもしれません。日本全国には800以上の味噌蔵があるといわれます。南北に長い日本の地形や気候によって特徴は様々で、各地の歴史や食文化が反映されたご当地味噌があります。

地元産の味噌を使うもよし、自分の好みの味噌を使うもよし、結婚して母の味から奥さんの味の味噌汁に変わったとしてもそれもよし。住む土地や人生経験によって味噌が変わると、それだけ味噌汁のバリエーションが増えて、暮らしの豊かさにつながります。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「ホワイトアスパラガスの白味噌仕立て」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

味噌汁のコツは「沸かさない」「煮えばなを手早く供する」「温め直さない」。「ゆり根白味噌仕立て」も参照。

ホワイトアスパラガスは、むいた皮の風味と甘みを移した湯で柔らかく茹でる

・ホワイトアスパラガスを買い求めたら、鮮度がよいうちに茹でる

茹で汁に昆布とかつお節をたして出汁として用い、アスパラガスの風味を生かした味噌汁にする。

仕上げに日本酒を加えることで香りが立つ。日本酒に含まれる芳香成分は、発酵・熟成過程で、原料の米の成分が麹菌などの酵素作用によって分解されてつくられるため、同じく米と麹が主原料の西京味噌にはよく合う。

・「グリーンアスパラガスの信州味噌仕立て」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

グリーンアスパラガスはたっぷりの湯で色よく歯ごたえが残るように茹でる

・グリーンアスパラガスは食べる直前に茹で、水に放さず茹でたてを味噌汁に入れると風味が生きる。







3月の野菜本膳、アスパラガスの味噌汁2種

「ホワイトアスパラガスの白味噌仕立て」(右)


【材料(2〜3人分)】
・ホワイトアスパラガス 3本

・ホワイトアスパラガスの茹で汁 適量

・水 適量

・昆布 5〜6cm(好みで増減する)

・かつお節 5g(好みで増減する)

・西京味噌 120g(好みで増減する)

・日本酒 大さじ2

・練り辛子 少々

【作り方】
1.ホワイトアスパラガスを茹でる。ホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスと比べて皮が堅めなので、厚めにむく。折れやすいのでまな板の上に置いて、真ん中より少し上あたりから根元までピーラーで皮をむく。皮の下にある堅い部分も除く。むいた皮は取っておく。

2.ホワイトアスパラガスを横にして入るくらいの鍋に、アスパラガスがつかるくらいの水とむいた皮を入れて火にかけ、沸いたら弱火にして3〜4分茹で、皮に含まれているアスパラガスの風味と甘みを茹で湯に移す。途中であくをすくい取る。ホワイトアスパラガスを入れて落し蓋代わりに皮をかぶせて茹でる。あくをすくいつつ、3〜5分茹で、柔らかくなったらアスパラガスをいったん取り出す。根元の堅い部分を除き、3.5cm長さに切る。

3.茹で汁は皮を除き、こして味をみる。えぐみがなければそのまま、えぐみがあれば半量の茹で汁に水をたして450ccにする。茹で汁と昆布を鍋に入れ、中火にかける。沸く直前にかつお節を加えて火を止め、かつお節が沈んだらクッキングペーパーでこす。

4.鍋に3を入れて火にかけて80℃くらいになったら、西京味噌を溶き入れる。ホワイトアスパラガスを加えて味噌汁が90℃を超えたくらいで日本酒を入れ、火からおろす。椀にホワイトアスパラガスを盛って汁を注ぎ、練り辛子を少量の味噌汁でのばした溶き辛子をのせて供する。

「グリーンアスパラガスの信州味噌仕立て」(左)


【材料(2〜3人分)】
・グリーンアスパラガス 3本

・油揚げ 1/3〜1/2枚

・出汁 400cc

・信州味噌(好みの味噌でもよい) 適量

【作り方】
1.グリーンアスパラガスを茹でる。グリーンアスパラガスはまな板の上に置いて、真ん中から根元までピーラーで皮をむく。皮が堅いものは厚めに、新鮮で柔らかいものはできるだけ薄く皮をむく。

2.グリーンアスパラガスを横にして入るくらいの鍋にたっぷりの湯を沸かす。穂先を持って根元のほうを湯につけ、20~30秒ほどしたら全体を入れ、2~3分茹でる。水に放さず、ざるに上げて根元の堅い部分を除き、3.5cm長さの斜め切りにする。油揚げは3cm長さ×5mm幅に切る。

3.鍋に出汁を入れて火にかけ、80℃くらいになったら味噌を溶き入れ、茹でたてのグリーンアスパラガスと油揚げを加える。味噌汁が90℃を超えたくらいで火からおろし、椀に盛る。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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