名画をめぐる実話を、名優の演技とともに味わう映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』

『ゴヤの名画と優しい泥棒』

©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020　配給：ハピネットファントム・スタジオ

1961年、歴史ある美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」に所蔵されていたフランシスコ・デ・ゴヤの名画《ウェリントン公爵》が盗まれた。美術館史上、唯一にして最大の事件である。


犯人は正義感の強い60歳のタクシー運転手、ケンプトン・バントン。盗んだ名画の身代金で孤独な高齢者の公共放送の受信料を無料にしようと企んだ事件が本作では描かれている。

主人公を演じたのはイギリスを代表する名優ジム・ブロードベントで、本物のケンプトンにそっくり。脚本家もこの役には「彼以外に思いつかなかった」というくらいイメージが重なる。

一家の大黒柱だった妻のドロシー・バントンをアカデミー賞などで数々の主演女優賞を受賞しているヘレン・ミレンが演じた。

信念を貫こうとする主人公の行動力と言葉の力に心が惹きつけられていく。

『黄金のアデーレ 名画の帰還』

DVD1257円 発売・販売元／ギャガ　All Program Content © 2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

もう一つの名画はグスタフ・クリムトの《黄金のアデーレ》。

アメリカに住む82歳のマリア・アルトマンがナチス統治下の時代に略奪された伯母アデーレの肖像画をオーストリア政府に返還要求するという実話である。

この絵に秘められた数奇な物語も興味深い。このマリアを同じヘレン・ミレンが演じ、圧倒的な存在感を放っている。