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急ぐべきか、急がざるべきか? 救急外来は、救命と応急処置のためにある

2018.01.26

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救急外来を上手に利用するためのケーススタディー


お医者さまの取扱説明書

ケース①
咳がひどくなり、肺がんを心配して救急外来を受診。しかし徒労に終わった


2週間前から咳が続いており、なかなか治らないAさん(52歳)。市販の咳止めも効かず、それどころか、ますますひどくなり、痰もからむようになってきました。


ある日曜日の夜、たまたま雑誌で肺がんの記事を読み、自分の症状が当てはまることに気づきます。心配性のAさんはいてもたってもいられず、総合病院の救急外来を受診して「肺がんではないか」と訴えました。

すると医師は困ったような顔で「ここではわかりません。後日、呼吸器科を予約してください」。何の検査もしてくれず、そのまま家に帰されてしまいました。

【患者の心得】
以前から続いている症状は心配でも基本的に救急の対象外


がんが救急医療の対象になることはほとんどありません(脊髄のがんで足が動かなく なった場合などは例外)。

救急医療の対象となる症状を見極めるポイントの1つは、激しい症状が急に始まり、ずっと続いていること。何時何分何秒からとはっきりわかるくらい突然に、胸や背中やおなかが痛くなったり、めまいが生じたりして治まらないケースなどが当てはまります。

Aさんのように、症状が以前から続いている場合は救急の状況とは考えにくく、夜中に慌てて受診しても無駄足になってしまうことが大半です。心配の程度と緊急の度合いは必ずしも一致しないのです。

ケース②
夜間に救急外来を受診しそのまま入院したが、眠って過ごしただけだった


朝からめまいがして、ふらつき、うまく歩けなくなったBさん(80歳)。娘に連れられて夜間の救急外来を受診しました。血液検査を行い、脳のCTやMRIを撮りましたが特に異常は見当たらず原因は不明。

状態も少しよくなってきたので家に帰ろうとすると、「今日は救急病棟に入院してください」といわれ、そのまま入院手続きをとることになりました。

何か特別な検査や治療があるのかと思ったら、何をするわけでもなく、一晩泊まっただけで翌朝は退院。救急病棟での入院に何の意味があったのか、不可解です。

【患者の心得】
怖い病気ではないことを確認するための入院ととらえる


救急医療に携わる医師の頭は、「この人の具合の悪い原因は何だろう」より、「その原因は命にかかわるものかどうか」に重きが置かれています。そのため、対応も緊急度を見極めることを目的としており、詳しい検査や診察を期待されても応えられないことが多くなります。

入院の目的も、明日の朝まで急な容態の変化がないことを確かめるためで、大事をとって病院の監視下に置く場合が大半です。いきなり入院といわれて驚くかもしれませんが、大げさに考えず、「家に戻るより病院で朝を迎えたほうが安心」くらいに思えばよいのです。

ケース③
119番でまず伝えることは?


道で倒れているお年寄りを見つけたCさん。呼びかけても意識がないので慌てて119番通報をしましたが、パニックになってしまいうまく説明ができません。

【通報者の心得】
誰が、どこから電話をしているのか


119番通報で伝えるべきことは3つ。あなたは誰か(本人か家族か通りすがりの者か)、どこから電話をかけているのか、その人に意識はあるか。それ以外は聞かれたことに答えるのが無難だといえます。救急隊員が知りたいことと通報者が伝えたいことは一致しない場合が多いのです。

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取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラストレーション/平松昭子
「家庭画報」2018年2月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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