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「もしかして認知症?」と感じたら家族はどう向き合い、寄り添えばいい?

2022.01.25

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親御さんの物忘れが気になって心配したりイライラしたりするときは、ご家族が専門機関を受診して相談するのも一つの方法です。なぜなら、困っているのは、親御さんではなく、ご家族だからです。──洋さん


認知症かもしれないと疑っていたら、じつはうつ病だったというケースも。子世代が考える以上に高齢者を取り巻く環境はストレスフルで、高齢者の13.5パーセントに明らかな抑うつ状態が認められたという疫学調査もあります。また、近年はうつ状態が先に現れ、認知症に移行することもわかっており、うつ状態は認知症の危険リスクの一つだといわれています。

高齢者のうつ病の特徴は、憂うつな気分が目立たないということです。うつ病が疑われる高齢者に診察で気分の落ち込みや不安感について尋ねても「もう年だからね」とおっしゃる。気分がよくないのは仕方がないことだと諦めていたり体の調子が悪いせいだと受け止めていたりするのです。それはご本人だけでなく、ご家族も同じです。

アルツハイマー型認知症と老年期うつ病の症状の違い


『よくわかる高齢者の認知症とうつ病』(長谷川和夫・洋 著 中央法規)を参考に作成

父は、長年にわたる診療経験から認知症の本質について今までの生活ができなくなる「暮らしの障害」だと申しておりました。この概念は、認知症にかぎらず、うつ病などのメンタルヘルス全般にも共通することだと私は考えています。

高齢者の場合、諸事情からそれまで好きだったことをやめたりできなくなったりすることがよくあります。そのことによって暮らしの中から楽しみや潤いが減っていき、暮らしの障害――つまり認知症やうつ病の発症リスクを高めているようにも思えるのです。

認知症の研究をライフワークとした父も年をとるに従い、研究の場から徐々に離れていきました。しかし、認知症になったことでメディアの取材が相次ぐようになり、当事者として感じていることを多くの人に伝える機会をいただき、父にとってはすごく幸せでありがたいことでした。

認知症やうつ病になっても人の役に立てたと感じられる体験を持つことはとても重要で、それが暮らしの障害を減らしたり心穏やかに過ごせたりすることにつながっていくことを父から教わったように思います。

長谷川さん父子

洋さんの診療所で外来診療していた頃の和夫さん。父から子へ、認知症診療における心得も着実に受け継がれている。写真提供/長谷川 洋さん

かかりつけ医がいないときは精神科や神経内科に相談を


認知症は突然、発症するわけではなく、正常老化から外れるような形で進行し、年単位で経過していきます。物忘れが気になるのは、ほかに目立って悪いところがなく、体が元気な証拠だという見方もできます。

それゆえに相談できるかかりつけ医がいない人も多いようです。認知症を疑って受診する場合は精神科や神経内科などが目安となり、日本老年精神医学会や日本認知症学会のホームページで公開されている専門病院や専門医のリストも参考になります。

本人が受診したがらないときは、家族が受診して相談するのも一案です。なぜなら困っているのは、ご家族だからです。そして、相談する中で信頼できる医師に出会ったら、その協力も仰ぎながら時間をかけて受診を促していきましょう。急がば回れ。周りが焦らないことが肝心です。
撮影/八田政玄 取材・文/渡辺千鶴

『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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