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「パンデミックに揺れる世界がワルツを求める」感染症の歴史と音楽

2021.12.17

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ではなぜワルツだったのでしょう?

男女が体を密着させながら回り続けることで陶酔感をもたらす、それがワルツの魅力であり本質です。民族舞踊には複雑な拍子が多いですが(東欧の5、7拍子、アフリカのポリリズムなど)、西洋音楽は単純化されていてリズムに乗りやすい。でもオーケストラの微妙な拍の駆け引きの中でふっと“離陸”して、魔術的な瞬間が訪れる。それでトランス状態になるんですね。

農村、または都市の場末で生まれたワルツは、次第にウィーンの中流階級をも虜にしてゆきます。一方でシェーンベルクが編曲した「皇帝円舞曲」はウィーンの場末の楽師たちが弾くゴツゴツした手触りも残しています。


実は今秋、これらのワルツをテーマにしたコンサートを京都コンサートホールで企画・開催したばかりです。出発点はラヴェルの「ラ・ヴァルス」。19世紀のウィーン風ワルツを下敷きにした作品ですが、狂騒的な過去を懐かしむ気持ちとそれを批判する気持ちが共存しています。ワルツの断片が魅力的に描かれていますが、途中から暴走して止まらなくなる。

ラヴェルによってカモフラージュされたワルツの原像を明らかにするため、作曲家の三ツ石潤司氏に新作も委嘱しました。コロナ以前には戻れないとすれば、音楽は今後どうあるべきか。それは人と人、人と世界がどうつながり直すのか、という問題でもあるのです。
撮影/シモン・クッパーシュミート 本誌・伏見早織 ウィーン取材コーディネート・取材・文/菅野恵理子 編集協力/三宅 暁(編輯舎)
『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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