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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。看護師 射場典子さん 第2回(後編)

2018.01.12

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副作用による外見の変化にはアピアランスケアの支援も


がん看護を専門としてきた射場さんには、抗がん剤の副作用とその対処法についての知識もあり、症状が出現する前から副作用対策を進めていきました。

たとえば脱毛は抗がん剤投与後約2週間で始まります。髪が抜ける前にかつらを作ったほうが自然な感じに仕上がるので、1回目の抗がん剤治療を受けた後、すぐに専門店に出かけ、妹にも助言をもらってかつらをあつらえたそうです。また、髪が抜けた後、ニットキャップの周りにつけ毛を縫いつけ、脱毛に気づかれない工夫もしました。

「精一杯明るく振舞っていたものの脱毛は外見が一つの自分らしさだとあらためて気づかされる経験でした。男女を問わず多くの患者さんが悩み、副作用というより病気体験そのもののようにも感じます。患者の語りをデータベース化したディペックス・ジャパンのウェブサイトでも脱毛に関する語りがとても多く、この項目で独立したトピックスを設けていますので、患者さんやご家族にぜひ参考にしていただきたいです」


さらに髪だけでなくまつ毛や眉毛も抜け落ち、外見が変わってしまったことにも強いショックを受けたそうです。近年、このような外見上の変化についてサポートする体制が少しずつ整ってきており、がん診療連携拠点病院を中心にアピアランスケアに取り組む医療機関も増えています。

このサポートを受けたいときは、主治医や看護師に相談するか最寄りのがん相談支援センターに問い合わせてみましょう。がん相談支援センターの一覧は、国立がん研究センターが運営するウェブサイト「がん情報サービス」で閲覧できます。

「看護の引き出しが増えて、ほかの患者さんによいアドバイスができるよう、あなたが感じた症状や自分なりの工夫を看護師さんに教えてあげてください」


一方、射場さんは患者になってみないとわからない副作用にも苦しみます。それは全身倦怠感でした。「治療前まず気になったのが吐き気でした。それから脱毛と手足のしびれ。だるいのは当たり前、と全身倦怠感は気にも留めなかったのです」。

ところが最初の点滴を投与した3日後、身の置き所のないほどのだるさが襲ってきました。射場さんは眠れぬ夜を悶々と過ごしながら「患者さんはこんな目に遭っていたのか」と医療者がわかっていることはそれほど多くないことに気づかされました。

また、吐き気で何も食べられなくなったとき、ある看護師から「味の濃いものが食べたくなるとほかの患者さんがいっていましたよ」と教えられ、ヨーグルトや果物など喉ごしのよいものが食べやすいと思い込んでいた射場さんは驚きました。

「でも、そういわれてみるとテレビで見たピザがおいしそうで、買ってきてもらったら食べられたのです。その様子を見た夫がものすごく喜びました。先輩患者さんの体験は頼りになると感心した出来事でした」と射場さんは振り返ります。

このように患者にしかわからないことが実は多々あり、その貴重な体験を、患者の最も近くでサポートする看護師に届ける必要性も感じました。

「ある看護師さんから“私には副作用の体験がないので、どのようにしびれているのか教えてください”と聞かれたことがあり、この聞き方はいいなあと思いました。私が感じた症状や自分なりに工夫してうまくいった対処法を伝えることで、この看護師さんの引き出しが増え、ほかの患者さんにいいアドバイスができるようになると考えたからです」。
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