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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。看護師 射場典子さん 第2回(前編)

2018.01.05

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時間を巻き戻すことはできない。先も見据えた後悔のない選択を


病理検査の結果、ステージIC期と診断されていた射場さんは術後化学療法の対象でした。ところが「私が罹患した明細胞がんは抗がん剤が効きにくいといわれており、しかも治療に使う薬剤には副作用がけっこう出ることも知っていました。効果が低いのに副作用で苦しむのは嫌だと思い、主治医の塩田恭子先生や医師である夫に強くすすめられましたが、最初は化学療法を受けることにとても消極的でした」と射場さんは正直に明かします。

夫は射場さんの気持ちを知ると、TC療法より少しでも効果の高い治療法を求めて最新の医学論文にあたり、新しい治療法として注目されていた「IP療法」を見つけてきました。おなかに埋め込んだ管(ポート)を通して腹腔内に抗がん剤を注入する方法で、がん細胞に高濃度の抗がん剤をじかに接触させられるため、高い効果が期待されていました。卵巣がんには「播種(はしゅ)」と呼ばれるおなかの中に広がりやすい特徴があります。

射場さんの場合、がんのある卵巣が破裂したので、おなかの中にも目に見えないがん細胞が残っている可能性があり、夫はこの方法がよいと考えたのです。


「塩田先生から、効きにくいといってもがん細胞が少ないうちに化学療法を行ったほうが効果は出やすいというアドバイスを受けたのと、夫と話し合いを重ねる中、再発や転移をしたときに〝あのとき、抗がん剤治療をやっていたら〟とお互いに後悔しないようにすることが大事だと思い、最終的に化学療法を受けることにしたのです」と射場さんは決断までの経緯を語ります。

塩田先生と相談し、射場さんの場合、術後に抜く予定だった腹腔内ドレーンを利用して全6クールの化学療法のうち最初の1クールだけ腹腔内に抗がん剤を注入し、残りの5クールは点滴による通常の治療(TC療法)を行うことになりました。こうして手術から約1か月後、再発予防を目的とした術後化学療法が始まりました。

(後編に続きます)

「患者になってみなければわからない抗がん剤の副作用に苦しみました。 そこから抜け出すヒントをくれたのは先輩患者さんの貴重な体験の数々でした」

取材・文/渡辺千鶴 撮影/八田政玄
フォトギャラリー写真提供/射場典子さん
医学の記事は毎週金曜更新です。

「家庭画報」2018年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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