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樂家十六代 吉左衞門 襲名記念。一子相伝 受け継がれる伝統

2021.10.13

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【保存版】伝統と革新に出会う 京都の醍醐味 第1回(全14回) 京都が唯一無二の町である理由、それは長く日本の都として文化、芸術の中心地であったこと。そこに新たな文物が流入、融合して、揺るぎない伝統と不断の革新が同居する都市となったのです。紅葉の美しい隠れ里の寺社、襲名展を控えた十六代樂 吉左衞門家、ラグジュアリーの中に伝統が息づく最新ホテル、伝統の味と新味が楽しめる料理店など、いつの日か訪れたい京都の“今”へご案内します。
受け継がれる伝統

この秋の個展のために焼いた赤樂茶碗を、手のひらで確かめる当代。これからの樂茶碗は、この手から生み出される。素焼き時の炭窯での変化が赤樂茶碗の景色を生み出す。穏やかな佇まいの茶碗に、まだ銘はない。「本来茶碗の銘は、所有者やお家元が名づけるもの。銘によって茶碗の印象が固まってしまうようにも思えますから、今は銘をつけず余白を残しています」。

初代長次郎が千 利休の理想とする樂茶碗を創始して以来、約450年の長きにわたって一子相伝の茶碗づくりを継承してきた樂家。代々の当主が名碗を生み出し、千家十職の一職として茶道文化を支えてきました。2019年には若き当主、十六代吉左衞門が誕生。この秋、いよいよ初めての個展が開催されます。襲名により新たな時代を迎えた樂家を訪ね、十六代の現在とこれからへの想いを伺いました。

「代が変わると暖簾を新調するのがしきたり。新たな始まりを感じて、身が引き締まります」



受け継がれる伝統

表玄関の暖簾にある「樂焼 御ちゃわん屋」の文字は、本阿弥光悦によるもの。字型が残してあり、代が変わるたびに新たに染める。当代の暖簾は、まだ白さが際立つ。同じ町内に住む白生地商の柴垣隆雄さんが、素材にこだわり十五代、十六代と2代にわたり暖簾を製作した。

新たな一歩を寿ぐ、十六代の「樂」


受け継がれる伝統

左・広間の茶室「翫土軒(がんどけん)」にて当代自ら客をもてなす。中・床の間の軸にある「樂」は、大徳寺管長高田明浦(みょうほ)老大師に揮毫していただいたもので、この字が十六代の印になった。襲名披露の茶事では待合にこの軸が掛けられた。右・陶製の仏壇飾りは歴代当主によるもの。先祖を敬慕する樂家の家風が窺える。見事な蓮の陶花は、九代了入(りょうにゅう)の作。

「先祖の皆さまがここにいてくださる。“十六代目当主として真っすぐ歩んでまいります”と挨拶しました」


受け継がれる伝統

襲名記念個展のご報告をする当代。仏壇には、初代長次郎から十四代までの位牌が並ぶ。普段は長次郎と家祖・田中宗慶、十三代惺入(せいにゅう)、十四代覚入の位牌が置かれているが、襲名式、正月やお盆、結婚式といった祝い事には、歴代当主すべてにお出ましいただく。
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