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栗の皮むきのコツを丁寧に解説します。ふっくらもちもちに仕上がる栗飯レシピ

2021.10.03

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

栗飯


「栗飯」

栗がおいしくなってきました。栗は古くから日本人に好まれる秋の代表的な味覚の一つです。今は多くの野菜や果物が一年を通じて手に入りますが、生の栗は限られた今の時期にしか手に入らず、旬というものを実感できる食材です。

栗は栄養素的に果物としての特徴(ビタミンC、カリウム、食物繊維などが豊富)とナッツ類としての特徴(ビタミンE、鉄、銅、マンガン、亜鉛などが豊富)、さらに穀類としての特徴(でんぷんが豊富)を併せ持つ珍しい食材でもあります。


「栗飯」

栗は大粒でふっくら丸みがあり、鬼皮が濃い茶色で光沢があって重さを感じるものを選んでください。指で押してプカプカするものや虫喰い穴があるもの、座と呼ばれる底の部分が黒かったりベトベトするものは避けます。

植物学的には私たちが栗の実と呼んで食べている部分は果肉ではないそうです。イガが皮に当たり、鬼皮が果肉で、鬼皮をむいた渋皮付きの中身が種になります。

生栗を使う際に面倒なのが、この鬼皮と渋皮の皮むきですね。栗を水や湯につけて鬼皮を柔らかくしてむく、圧力鍋や電子レンジを使う、茹でて冷凍する、フライパンやオーブンで加熱するなど多くの方法があるようです。ただ、これらの方法は作る料理にもよりますが、半加熱あるいは加熱という点が、その後の料理の展開を制限してしまうことになります。また、生栗は生きているので、水に長時間つけると内部が発芽状態になり、 食味に変化が起きる可能性が生じます。

今日は栗の鬼皮と渋皮のむき方のコツもお教えします。今は栗むき器という便利な道具も出ていますが、包丁で十分です。栗を生のままでむけば、その後の料理の展開も大きく広がりますし、その包丁使いは里芋の皮むきにも応用できます。皮むきをマスターして秋の野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「栗飯」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・むいた生栗を用いることで風味あふれる栗飯になる。冷凍や真空パックの栗は風味がかなり低下している。

・加熱して皮をむいた栗を米と一緒に炊くと栗に火が通り過ぎて崩れる可能性がある。しかし炊き上がり後に加えるのは、飯に風味が移らないのであまりおすすめできない。

・栗の蜜煮を切って水にさらし、甘みを少し抜いたものを炊き上がりに加える方法もあるが風味がなく、残った蜜の味が米の甘みを邪魔するのでおすすめできない。

米の総量の5~10%をもち米にすることでもっちりした食感になり、おいしい栗飯となる。

三つ葉の小口切りを添えると、その香りと食感が栗の風味を引き立て、彩りもよくなる。

・渋皮を包丁でむく際に、左手の親指の腹(右利きの場合)に絆創膏やテーピング用のテープを2重に巻いておくと、刃が当たってもケガをしにくい。裁縫用の革製の皿付き指ぬきを使ってもよい。

・渋皮を包丁でむくのが苦手な場合は、ガスコンロに焼き網をのせて、焼きなすを焼く要領で強火で渋皮だけを一気に焦がす。熱いうちに濡らして絞った布巾にとってこすると渋皮だけがむける。沸いた湯に渋皮付きのまま栗を入れ1~2分茹で、冷めてから渋皮を手でむく方法もあるが、表面のみが柔らかくなって実が崩れる可能性もあるので注意。







「栗飯」


「栗飯」

【材料(2人分)】
・米(うるち米90~95%、もち米5~10%)1合

・栗(鬼皮と渋皮をむいて) 150g

・昆布出汁 180cc

・塩 3.5g

・日本酒 大さじ1

・三つ葉(生のまま小口切り) 大さじ1弱

【作り方】
1.米は炊く30分以上前に研ぎ、10分ほど真水につけた後、ざるに上げておく。

2.栗の皮をむく。むき方は「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。栗はあくが強く、すぐに変色するので、むいた栗は水に放す。むいた栗を1.5cm角ほどに切って米と一緒に炊飯器に入れる。

3.昆布出汁(飯の炊き上がりの柔らかさの好みで量を加減する)に調味料を加えて溶かし、2に加える。全体をひと混ぜして炊飯器のスイッチを入れる。

4.炊き上がったら、栗をつぶさないように全体をふんわりと混ぜて器に盛り、三つ葉を散らして供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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