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東京藝大で教わる西洋美術の見かた。「アルノルフィーニ夫妻の肖像」“鏡に映る像”の謎

2021.10.01

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ヤンの次の世代のハンス・メムリンクによる、聖母子と肖像画を組み合わせた二連画《ニューウェンホーフェの聖母子》(下・図3)を見てみましょう。

図3 ハンス・メムリンク《ニューウェンホーフェの聖母子》 1487 年、油彩、板 メムリンク美術館、ブリュージュ

図3 ハンス・メムリンク《ニューウェンホーフェの聖母子》 1487 年、油彩、板 メムリンク美術館、ブリュージュ


本作の依頼主ニューウェンホーフェは、ブリュージュの都市貴族で弱冠23歳でした。ドイツ出身のメムリンクは、ブリュージュに出てきてからヤンの造形を貪欲に学んだようです。

というのも、この作品の聖母の背後には、《アルノルフィーニ夫妻の肖像》と同様の凸面鏡が見えるからです。そこには、聖母の後ろ姿と、聖母を礼拝するニューウェンホーフェのシルエットが映っています。つまり、この二連画は、別々のパネルで連結されていないにもかかわらず、鏡像によって、両者の絵画空間が額縁を超えて結び付けられているのです。



背後の凸面鏡には、聖母とこの絵画の依頼主のシルエットが並んで映っている。

この鏡の像によって、聖母とニューウェンホーフェが窓際に座っていることもわかります。そこで鑑賞者は、この額縁自体が窓枠の役目を果たしていることに気づかされるでしょう。鏡によって空間を補完する画面構成は、まさにヤンから学んだといって間違いありません。
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