――もとは陰陽師であり、妖狐に取りつかれていて……というところが難しそうです。「難しいです。台本の読み合わせで、あんなに疲れたのは初めてですよ。素の状態の利風と、中身は妖狐だけれど利風のふりをしている状態、完全に乗っ取られている状態、さらにレベルアップした状態……自分の中では4.5パターンあるなと理解しているんですけど、間に素の状態が入ってきたりするので、何度読んでも混乱してしまって。まずはキャラクターの使い分けを整理していく稽古期間が必要ですね。それがハマってきたら、膨大な台詞も入りやすくなってくるのかなと思っているんですが」
――晴明役は、向井さんのことを“おさむっち”と呼ぶ中村倫也さん。久々の共演だとか？「初めての共演は、倫也くんがまだ18歳くらいのときでした。それからずっと機会がなかったんですが、今年になって10数年ぶりに共演して。初共演のときから“度胸がある子だな”と思っていたんですけれども、倫也くんには何かこう余裕というか、ちょっとやそっとのことではブレない芯の太さを感じます。何より舞台経験が豊富なので、稽古でたくさん刺激をもらいたいですね。ふざけっぷりもどれだけ見られるか、楽しみです(笑)」
――2011年の初舞台以来、向井さんもコンスタントに出演なさっていますが、ご自身にとって舞台はどういう存在ですか？「好きとか嫌いという以前に、やるべきだなと僕は思っています。初舞台をやる前は、“こんなに緊張感がある中で、芝居ができるんだろうか？”と思っていたんですけど、いざやってみると、得るものがたくさんあって。共演者と稽古を重ねることで生まれるチーム感や、回ごとに違うお客さんの反応……今も緊張はしますが、少しずついろいろなものが見えてくるようになりました。主に映像の世界で仕事をしている僕にとっては、一つひとつの台詞や動きを突き詰められる稽古期間があることが、やっぱりありがたいですね。舞台の仕事が終わった後に映像の仕事をすると、台本やお芝居に対してすごく敏感になっている自分に気づきます」
九尾の妖狐に一族を滅ぼされ、日の本に危険を伝えに来る狐の霊役で吉岡里帆さんも出演。「吉岡さんとの共演は4回目。彼女のほわっと優しく包み込むような雰囲気が生きたキャラクターになるんじゃないかなと思います」 
