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消そうとするほど逆効果。「不安」は居場所を作れば怖くない

2021.08.02

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川野医師の診察室から


*実際の症例をもとに内容を変更して掲載しています。


【ケース・1】
パニック障害で、介護士を退職。仕事に復帰したいが不安で踏み切れない



→瞑想の習慣で自信をつけ、最少量の薬で発作を予防。現場への復帰を果たす

介護士だったA子さん(52歳)が職場で動悸、震え、過呼吸などの発作を起こしたのは40歳のとき。パニック障害と診断され抗不安薬を処方されますが、発作はおさまらず、自信をなくしたA子さんは退職。薬を飲みながら専業主婦を続け、「いつか現場復帰したい」との思いを持ち続けていました。

私の診察室を訪れたきっかけは、本で読んだマインドフルネスに興味を持ったことでした。薬を継続しながら呼吸瞑想を指導し、不安が強いときや発作直後には「音に意識を向ける瞑想」(次回ご紹介)も行っていただきました。半年後、薬を最小限に減らしても発作がほとんど起こらなくなり、晴れて介護士の仕事に復帰したのです。

「施設では入所者のかたがお亡くなりになることもあります。それでも私はできる限りのことをさせていただいたと思えるのです」と語るA子さん。瞑想の習慣は平常心(びょうじょうしん=「あるがままの心」を表す禅語)を以て一つの仕事に丁寧に取り組む姿勢を育んでくれました。




【ケース・2】
人前で話すのが極端に苦手。立場上、避けて通れず、重荷で退職を考えるまでに


→「置き換え瞑想」と呼吸瞑想を組み合わせ、不安を少しずつ克服

子どもの頃から引っ込み思案のB子さん(45歳、会社員)は、大人になっても人前に出て目立つことが大の苦手。しかしリーダーを任される年齢になり、大勢の前に出る機会が増えたことが重荷で、退職を考えるほどでした。

「人前で話そうとすると手が震え、動悸がしてパニック状態になるのです」と私のもとを訪れたB子さん。社会不安障害の傾向がみられたため抗うつ薬を開始し、診断書を作成して上司に「業務内容に配慮してください」と伝えました。徐々に不安は治まりましたが、まだ人前で話す恐怖はぬぐえません。

そこで不安な場面ですぐに使えるよう「不安の置き換えテクニック」(次回ご紹介)を練習し、普段行う呼吸瞑想と併用することを提案しました。その後、業務がテレワーク中心になったことはB子さんに幸いしました。「オンライン会議には不安なく臨めます。対面のミーティングが再開しても前ほどあがらないような気がします」と自信をつけはじめています。




川野泰周(かわの・たいしゅう)さん


臨済宗建長寺派林香寺住職、精神科・心療内科医、RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。1980年生まれ。慶應義塾大学医学部医学科卒業。精神科医療に従事した後、3年半の禅修行を経て2014年より実家の横浜・林香寺の住職となる。寺務と精神科診療の傍ら、講演活動などを通してマインドフルネスの普及と発展に力を注いでいる。著書に『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)ほか。公式ウェブサイト https://thkawano.website/
「寺子屋ブッダ」https://www.tera-buddha.net/
取材・文/浅原須美 撮影(川野さん)/鍋島徳恭

『家庭画報』2021年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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