エンターテインメント

佐藤天彦名人の「お城」を特別取材……将棋特集特別リポートVol.2

2017.12.22

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「将棋の面白さでいうと、将棋そのものの奥深さは常に感じますね。ゲームとしてのバランスが非常によくできていて、いつまでたっても飽きない。新鮮な気持ちになれる。コンピューターや若手が考え出した新しい戦法や価値観など僕たちの世代にはなかったものも多く出てきているので、学びながら吸収、ものにして、どういう将棋を指していけるかということが当座の楽しみでもあり、課題でもあります」

 

――世代によって、将棋への向き合い方や棋風、練習の違いはありますか?



「一概にはいえませんが、主流の勉強法は世代によってだいぶ違っていますよね。羽生世代はコンピューターを研究に取り入れ始めた世代といわれています。どういうことかというと手書きで棋譜を写していた時代から、データベースやコンピューターで管理できるようになったと。そして僕たち20代後半世代ではソフトに研究させたりとか、ソフトの手を取り入れたりすることが可能になってきたんですよね。今、20代前半の棋士たちは将棋に向き合っていた最初から、コンピューターソフトを取り入れるのが主流だったと思います。ただ、世代といっても猫も杓子もというわけではなく、性格で合う、合わないもありますよね」

――天彦名人はいかがですか?


「僕はコンピューターを取り入れつつ、どっぷりまでとはいかない感じだと思います。研究に対するコンピューターの有用性はあるので、ある程度までは取り入れたいですが、他方で今までの人間の歴史、積み上げてきたものの価値観も大切にしたい。やはり最終的には人間対人間の勝負なので、そこで生きることには歴史から吸収したものも多いと思うんです。バランスをとりつつやっていければというのが、僕のスタンスですね」

――電王戦で実際にコンピューターと対局をされてみていかがでしたか?


「意味があった対局だと思いますね。コンピューターは30手、40手先の裏付けを一瞬で正確に読み取って、こんな手もあるんだ?という手をやってきたりして。そこは素直に面白いなと。それを形としてすぐに出せるかは別ですが、新しい発見などは、後々生きるのかなという気がします。人間が負けることに寂しさを感じた方はたくさんいらしたと思いますし、応援してくださった方々に朗報をお届けできなかったのは残念なのですが……。コンピューターの強さは骨身に染みました(苦笑)。でも、将棋の可能性が新たに示されたことは、今回の対局も含めてコンピューターが出てきたからこそだと思うので、そこは切り離していい意味でとらえるといいのではと思っています」

小松庸子/Yoko Komatsu

フリー編集者・ライター
世界文化社在籍時は「家庭画報」読み物&特別テーマ班副編集長としてフィギュアスケート特集などを担当。フリー転身後もフィギュアスケートや将棋、俳優、体操などのジャンルで、人物アプローチの特集を企画、取材している。

 
【短期集中連載】小松庸子の「将棋愛(eye)」 Vol.1 祝・羽生善治二冠「永世七冠」達成! 未掲載のQ&Aを特別リポートVol.3 棋士仲間も絶賛。中村太地王座の素顔に迫る   取材・文/小松庸子 撮影/本誌・坂本正行
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