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見た目も涼しげな、お酢を使ったさっぱりれんこん料理2品

2021.08.03

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

新れんこんの酢蓮2種


新れんこんの酢蓮2種

7月中旬から8月にかけて、蓮の花が見頃を迎えます。短命で3日ほどで散り、朝咲いた花は午後には閉じてしまいますが、少し早起きすると満開を観賞できます。

蓮の花は古来インドでは、聖なる美しい花とされ、菩薩のシンボルと見なされています。そんな蓮の花を見る度に「泥中(でいちゅう)の蓮(はす)」という言葉を思い出します。


蓮は濁りのない澄んだ水の中では、うまく育ちません。泥に身を埋めつつも、泥の色や香りに少しも染まらず、それを肥やしとして清らかな花を咲かせるのです。

煩いや悩み、苦しみが尽きず、矛盾に満ちた生活のなかにあっても、蓮のように汚れに染まらず、清らかに人生の花を咲かせよとの教えだそうです。

身が引き締まる思いのまま、今回はそんな蓮を汚れなき白に料理したいと思います。煩悩だらけの私ですが、その煩悩で蓮が染まらぬよう、泥中の蓮の教えを胸に精進します。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「新れんこんの酢蓮」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素をクリア。

◎旨み 塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 香り ◎刺激

・美しさを愛でる料理は美しさを損なわないよう調理する。新れんこんの薄い皮はむかずに食器用スポンジの粗い面でこすり取る。薄く切り、酢水につけて白さと歯ごたえを維持する。

・酢煎りの場合、くせのない微量の油を加えることで味に奥行きとつやが出る







新れんこんの酢蓮2種

「新れんこんの酢蓮(甘酢漬け)(奥)」


【材料(3人分)】
・新れんこん 4~5cm

・甘酢(作り置きでもよい) 適量
昆布出汁450cc、酢300cc、砂糖100g(「新生姜の甘酢漬け3種」)

・赤唐辛子(輪切りまたは糸切り) 少々

【作り方】
1.新れんこんは皮が薄いので、食器用スポンジの粗い面でこすって皮をむく。スライサーで1.5~2mmくらいの厚みに切り、酢(材料外)を加えた水につけて白さと歯ごたえを維持する。

2.鍋に湯を沸かし、1のれんこんを歯ごたえが残るくらいにさっと茹で、冷水に放してすぐにざるに上げる。

3.水気をきり、赤唐辛子を入れた甘酢に漬ける。4~5時間するとおいしく食べられる。長期保存できるので作り置きできる。酢のもの、和えもの以外にも刻んで混ぜ、寿司などに活用してもよい。

「新れんこんの酢蓮(酢煎り)(手前)」


【材料 (作りやすい分量)】
・新れんこん 100g

・酢 55cc

・砂糖 小さじ3強

・赤唐辛子(お好みで) 少々

・揚げ油 適量

【作り方】
1.新れんこんの皮のむき方は甘酢漬けの作り方1と同様に。スライサーで2mmくらいの厚みに切り、酢を入れた水につけて白さと歯ごたえを維持する。

2.1のれんこん6枚を160℃くらいの油で軽く色づくまで揚げ、クッキングペーパーに広げ余分な油を除く。

3.フライパンを火にかけ、熱くなってきたら1のれんこんの残りに酢・砂糖を加え強火にし、歯ごたえを残すため、鍋をあおりながら、一気に絡めていく。刺激が欲しい場合は赤唐辛子を加えてもよい。味に奥行きが欲しければくせのない油(サラダ油など)を数滴足す。

4.調味料が煮つまってきたら、火から下ろしてバットなどに広げる。煮つめ過ぎるとれんこんに色がつくので注意。
※酢煎りの酢蓮は、急に酢蓮が食べたくなったときや混ぜ寿司を作ろうと思ったときに重宝する。火にかけるため、甘酢漬けより酢の分量が多い。作り置きには向いていないが、柑橘酢などを加えて香りの立った酢蓮にすることもできる。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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