ファッション

女優・柴咲コウさんがまとう美しき芭蕉布のきもの

2021.07.21

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人間国宝 平良敏子 百寿記念特集 芭蕉布の未来 最終回(全3回) 重要無形文化財「芭蕉布」の保持者、平良敏子100歳。沖縄本島北部の喜如嘉(きじょか)で数百年前から織られてきた織物が戦後、途絶えかけていたのを、地域の女性たちと甦らせ、芸術の域にまで高めた作家は、今も同志に守られながら芭蕉の糸を績うむ現役です。この地に根差す染織文化の未来を、女優・柴咲コウさんがまとう美しさとともにご覧ください。前回の記事はこちら>>

琉球王国の色柄を再現して


煮綛芭蕉布をまとう柴咲コウさん

初め福木の黄色で染め、琉球藍を上から掛けた草色の糸で織り上げた、無地の芭蕉布です。地色を染めた芭蕉布は煮綛芭蕉布と呼ばれ、王府時代には上流階級で着られたもの。涼風が袖を膨らませ、わずかに透けるその様は、まさに夏の贅沢。萌葱色の羅織り帯を合わせ、色数を抑えた都会的な着こなしに。
きもの/個人蔵 帯/姫路 えり新 帯揚げ/和小物さくら 帯締め/道明


煮綛芭蕉布の帯地

煮綛芭蕉布の帯地2点。右は茜染めの深緋色の糸を主に、藍と福木、マンゴーで染めた渋い黄色の縞を織り入れたヤシラミー花織。左は光沢ある福木染めの黄色地に花織をあしらったもの。
帯地/ともに芭蕉布織物工房

洗練された美を叶える緻密な絣


ヒキサギー文様の芭蕉布きものをまとう柴咲コウさん

琉球藍で染めた黒みがかった藍の糸と芭蕉の生成り糸を並べて、細かな縞を構成し、藍の絣を加えたヒキサギー文様の芭蕉布きもの。白糸の陰に織り込んだ黒の糸で墨色に見える、重要無形文化財「羅」の保持者・北村武資作の帯を合わせ、趣のあるコーディネートに。帯留めの翡翠を挿し色にして。
きもの/個人蔵 帯/銀座もとじ 和織 帯揚げ/和小物さくら 三分紐/道明 帯留め/山清堂 髪飾り/かづら清老舗 パラソル/銀座ぜん屋本店

八十八花合文様のきもの

米寿を祝う八十八花合(はちじょうはちふぁなあしー)文様の、きりりとした琉球藍と車輪梅の絣が圧倒的な存在感を放って。
きもの/芭蕉布織物工房

黄金色が照らす未来


曲尺文様のきものをまとう柴咲コウさん

極細の生成りの糸に、藍の絣糸で曲尺(ばんじょー)文様を織り出したきものに、生成りの芭蕉布に藍絣で風車(かじまやー)を描いた帯を合わせた一揃い。芭蕉の糸の清浄さが、着る人の美しさを輝かせます。沖縄では、97歳の誕生日に人生が一回りしたと考え、風車で長寿のお祝いを行います。風車文様の帯は夏の吉祥文様としておすすめの一枚です。
きもの/芭蕉布織物工房 帯/個人蔵 帯揚げ/和小物さくら 帯締め/道明 髪飾り/かづら清老舗

タペストリー

喜如嘉の海をイメージし、平良さんが海に飛ぶ2種類の鳥をデザインしたタペストリー。琉球絣伝統の鳥(とぅぃぐあー)とは違うオリジナルの絣文様を、清々しい藍で描いています。裾の部分にうねる波が雄大です。
タペストリー/芭蕉布織物工房
「芭蕉布は、喜如嘉のみならず沖縄が世界に誇る伝統工芸。多くの人がその素晴らしさを知り、一緒にやろうという人が増えたら、芭蕉布は末永く後世に受け継がれていくことでしょう。私はそう信じ、これからも芭蕉布とともに生きたいのです」
── 平良敏子

柴咲コウ(しばさき・こう)
女優、アーティスト。2016年、持続可能な社会を作るためにレトロワグラースを設立。17年にNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』、20年に日本テレビ『35歳の少女』で主演。18年、環境省「環境特別広報大使」に就任。19年、初エッセイ『LIFE THE KO 生きるを活かす9のこと』、写真集『THE KO 柴咲コウ photo book』を出版。
着る人/柴咲コウ
撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/黒田啓蔵 〈iris〉 着付け/石山美津江 きものコーディネート・取材・文/相澤慶子

『家庭画報』2021年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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