生涯連れ添うことを誓った夫婦にも何らかの“別れ”が必ず訪れる。死別、離婚。その別れを迎えた時に、長年秘めてきた事実が浮かび上がると同時に、それぞれの感情が見えてくる。
『ブラックバード 家族が家族であるうちに』
© 2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED『ブラックバード 家族が家族であるうちに』は、病状が進んで動けなくなる前に安楽死を選んだ母、リリー(スーザン・サランドン)を看取るために集合した家族の最後の週末を描いた作品。
医師の夫、長女(ケイト・ウィンスレット)の夫婦と事情を知らない15歳の息子、疎遠になっていた次女と恋人、リリーの親友のリズの8人が登場する。
母の決断を受け容れていた長女と納得できていない次女は衝突を繰り返し、それぞれの秘密が明らかになると母の死を食い止めようと試みる。
瀟洒(しょうしゃ)な家で残された静謐な時間をともに過ごすような感覚が味わえる。
『幸せの答え合わせ』
© Immersiverse Limited 2018 提供:木下グループ 配給:キノシネマ『幸せの答え合わせ』は29年連れ添った夫からの一方的な離婚宣言から事が始まる。
自分が信じていた愛は存在しなかったとは認められず、夫への思いを断てずに怒りと絶望に浸る主人公をアネット・ベニングが熱演。
すでに独立していた息子が1人になった母親に寄り添い、自身の生き方も見つめ直していく。それぞれが思いもしなかった明日に、何を見出していくのか。
構成・文/山下シオン
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。