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両手いっぱいに花を抱えて、家に飾る。暮らしと庭をつなぐ「カッティングガーデン」の魅力

2021.06.18

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北海道「十勝千年の森」ファームガーデンだより 麗しき花摘み庭の喜び 第2回(全7回) 十勝千年の森には「カッティングガーデン」という、摘んで飾るために草花を育てる花壇があります。ヘッドガーデナーの新谷みどりさんが繰り出す植栽プランは「ラスティックビューティー」そのもの。いくつもの喜びに出会える花摘み庭の魅力をご紹介します。前回の記事はこちら>>

あしらい方は草花が教えてくれる
世界中で注目されるラスティックという美


世界中で注目されるラスティックという美

涼しげなブルーとトゲトゲの形がなんとも愛らしいエリンジウム。左奧の緑のエリンジウムは手前とは異なる品種で、右奥のエキノプスとともに、まだ蕾のうちに摘み取ったもの。ガーデンカフェの黒い壁とも絶妙にマッチ。


十勝千年の森が大切にしているコンセプトは「ラスティックビューティー」。野趣があり、かつ洗練された美しい庭です。

当初、デザイナーのピアソンさんとガーデナーチームがイメージを共有するために使っていた言葉だそうで、「時間を経てきたもの、自然の影響を受けて変化していくものに美を見出す、日本のわび・さびにも通じる感覚でしょうか」と新谷みどりさん。

最近、欧米では農場などを舞台に、自然素材を多用した演出を行う「ラスティック・ウェディング」が流行していますが、十数年前から時代の先端をいっていたといえるかもしれません。

ファームガーデンでは来園者を迎えるため、ガーデナーが自ら摘んだ花を生けます。テラスの一角に置かれた作業台は格好のディスプレイ台でもあり、黒く塗装した木の壁を背景に、古びたバケツに花や葉物を生けたさまは、まさにラスティック。まだ蕾(つぼみ)のものや種をつけたものを飾って愛でるのも、いかにも十勝千年の森スタイルです。

「同じ花でも咲き始めと咲き終わりで色が変わるし、萎しおれてきた花を別の花に替えるとまた印象が変わります。そもそも切り花を両手いっぱい持つ経験なんて、なかなかないでしょう? 家にいる時間が長い今こそ、暮らしと庭をつなぐカッティングガーデンの喜びを知っていただけたらうれしいですね」

世界中で注目されるラスティックという美
多種の花を混ぜたものと単一のグラスを組み合わせ、互いの魅力を引き出し合うスワッグ2点。手前はエキノプス、リアトリス、ネペタ、種をつけたペンステモンなど。結実までの「時間」を生けるのも十勝千年の森流。ツートーンカラーのワレモコウは品種不明で、新谷さんのお気に入り。奧はパニクム・ヴィルガツム。壁に掛けるスワッグは表と裏を意識し、弓なりにまとめていくのがコツ。

新谷みどりさん

新谷みどりさん
南九州大学園芸学部造園学科卒業。2002年、公開型庭園のガーデナーを目指してスウェーデンに渡り、ミレスゴーデン、ローゼンダール・トレーゴードで学ぶ。帰国後、造園会社や園芸会社で経験を積み、2008年、十勝千年の森のヘッドガーデナーに就く。





〔特集〕北海道「十勝千年の森」ファームガーデンだより 麗しき花摘み庭(カッティングガーデン)の喜び



01 「花摘み庭づくり」成功のポイント

02 暮らしと庭をつなぐ「カッティングガーデン」の魅力

03 深い赤が輝くパッション溢れるブーケ

04 青の階調が豊かな瑠璃色ブーケ

05 風に穂が揺れるサーモンピンクのブーケ





この特集の掲載号
『家庭画報』2021年7月号



『家庭画報』2021年7月号


●関連記事を読む イギリスで“21世紀最良の庭”と絶賛。「十勝千年の森」の美しき菜園ガーデン
監修=新谷みどり 撮影=大泉省吾 取材・文=大山直美 協力=十勝千年の森 ※この特集で紹介した栽培例は、北海道・十勝地方で実施されたものです。地域や気候により、適する植物や植え付け時期などは異なります。
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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