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女性に起こりやすい手や指のトラブル。症状のある部位以外に原因があることも

2021.06.08

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糖尿病など別の病気が隠れていることも


さらに、手や指の痛み、しびれはほかの部位、あるいは全身の病気とも関係しています。

「手の痛みやこわばり、しびれがあって腱鞘炎や手根管症候群と診断された患者さんに糖尿病のかたが少なからず含まれています」。

糖尿病は末梢神経を冒すことから手・指にも症状が出る場合があるのです。また、全身性エリテマトーデスなどの病気でも関節炎が起こります。


指や手のむくみや震えが甲状腺機能亢進症など甲状腺の病気の一症状として現れているケースもあります。

手や指のしびれは、手根管症候群をはじめとする手の病気や手を使いすぎたときに起こりますが、頸椎ヘルニアなどによる頸椎の中の神経の圧迫が原因となっている場合もありえます。

また、手のしびれや震えの他の原因としてパーキンソン病、音楽家やスポーツ選手、ゲーマーのように手を酷使する人がある動作のみができなくなる局所性ジストニアなどがあります。これらは脳神経の病気です。

このように手や指の痛み、腫れ、しびれ、震えは、症状が出ている部位に必ずしも原因があるわけではないことも覚えておきたいものです。

なお、手や指には悪性の腫瘍はあまりできませんが、ガングリオンや粘液囊腫(ねんえきのうしゅ)といった良性のできものはよく見られます。これらのできものの中にはゼリー状の物質がたまっています。

「ガングリオンは押さえると硬めで、若い女性に多い一方、粘液囊腫は軟らかく、高齢のかたに多いのが特徴です。いずれも腱鞘炎などが合併すると症状が悪化します。また、爪の周囲にできる粘液囊腫は爪の変形を招くこともあるので、一度は整形外科を受診してください」(平田先生)。



発症頻度が比較的高い指・手・手首の病気


●変形性指関節症
指節間関節の軟骨がすり減り、そこが骨に変わって関節が太くなる。炎症が起こると痛みが出て腫れ、指の動きが悪くなる。特に第1関節の変形は頻度が高く、ヘバーデン結節と呼ばれる。手の使いすぎ、加齢、遺伝的素因などが原因となる。

●腱鞘炎
腱鞘やそこを通る腱に炎症が起こり、痛みや腫れが出る。起こりやすいのは手首の親指側(ドケルバン病)、中指と人差し指。家事や趣味、スポーツなどで手を使いすぎたときに起こるほか、関節リウマチ、糖尿病なども原因になる。妊娠・出産期や更年期にもよく見られる。

●ガングリオン・粘液囊腫
手首の周辺や手の平の指の付け根あたりにできる腫瘤。指の第1関節周辺にできたものは粘液囊腫と呼ばれる。米粒大からピンポン球くらいまで大きさはまちまち。中はゼリー状で硬いことも軟らかいこともある。腱鞘炎と併発する例も見られる。神経のそばにできるとしびれ、痛み、動きの悪さの原因になる。粘液囊腫によって爪が変形することも。原因不明で再発しやすい。

●関節リウマチ
関節を包んでいる滑膜が炎症を起こす。指のこわばり(特に朝)、熱っぽさ、腫れ、動かしにくさなどが典型的な症状で、進行すると骨や軟骨が破壊されて、手や足の指、手首が変形する。30~40代の女性に多い。自己免疫疾患と考えられているが、原因の詳細は不明。

●手根管症候群
手首の骨と靭帯に囲まれた空間で神経が圧迫され、人差し指、中指のしびれや痛みが出て、親指の内側や薬指の内側にも広がる。症状は明け方に強くなるのが特徴。進行すると物をつまんだり、OKサインをしたりするのが難しくなる。妊娠・出産期や更年期の女性に多い。手の使いすぎなどでも起こる。ガングリオンもその原因になる。




手や指に症状が出たら、早めに診察を受けよう


「関節の病気が進んで骨や軟骨が破壊されてからでは治療が限定的になっていきます」と平田先生。

また、指をはさんだ、手をぶつけたといったケガの痛みや腫れが長引くとき、しびれが継続するときは神経の損傷、骨折などの可能性があります。痛みや腫れ、しびれを感じたら早めに整形外科を受診しましょう。

これらの症状には脳神経の病気や糖尿病のような全身の病気が隠れていることもあります。

手や指の症状が気になるときに強い味方になるのが手の外科の専門医です。日本手外科学会のホームページでは、1000名を超える手の外科の専門医を紹介しています。

日本手外科学会のホームページはこちら>>

〔解説してくださった方〕平田 仁(ひらた・ひとし)先生
平田 仁先生

名古屋大学 大学院医学系研究科 教授、同大学 予防早期医療創成センター 教授。1956年生まれ。82年三重大学医学部卒業。医学博士。同大学医学部附属病院講師、助教授などを経て、2005年に名古屋大学大学院医学系研究科教授(総合医学専攻 運動・形態外科学講座 手の外科学)に就任。15年から予防早期医療創成センター教授を併任。専門は手外科、運動感覚機能再建外科、末梢神経科学。
取材・文/小島あゆみ イラスト/にれいさちこ

『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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