熟年男女の本音と建前を描いた人間喜劇―豊川悦司

欲深さを隠している人より、欲をむき出しにしている人は憎めない

今回もみずから脚本を手がけた鶴橋監督が、原作を読みながら、“小夜子と柏木の役は、大竹さんと豊川さんしかいない”といったように、ふたり以外の配役は想像できないそのコンビぶりは、まさに本作の核であり、見どころになっているが、「監督から、大竹さんに打診していると聞いたので、すぐに“大竹さん、(小夜子を)やりますよね。大竹さんがやるなら僕もやります”と、メールを入れたんです。そしたら大竹さんは“おばちゃんの役だからなあ”っていうんですよ。“いいじゃないですか、魅力的に演じれば”って、僕は返したんですけど(笑)」と、オファーを受けたときのエピソードを話す豊川さん。こんな愉快なメールをやりとりするふたりが本格的にタッグを組むのは今回で三度目。 160810_ac_02.jpg 前回の共演作『一枚のハガキ』とは、まるで違うコンビを大竹さんと演じることができてすごく楽しかったし、そ れがこの仕事のおもしろさだと思います、と豊川さん。

「大竹さんと芝居をしていると、大きな船に乗って気持ちよくクルージングしているような感じで、自分のやりたいことを安心してやらせてもらえるんです。一瞬にして違う人格になってしまう、そういう芝居は大竹しのぶという稀有な才能を持つ女優さんにしかできないことで、僕自身、毎回、大きな刺激を受けているので、ふたりでシーンをつくっていくことは、本当に楽しかったですね」

この記事は全4ページです。

あわせて読みたい

Pick Up