定価 1950円
涼秋の頃、篠田桃紅さんがいつも手にする帯があります。深い江戸紫色のその袋帯は、およそ半世紀も前、ニューヨークで友人のお母さまからぜひ桃紅さんへと譲られたもの。そのかたも、桃紅さんも「さんざん締めた」帯なのに、ごくごく細い刺繍の糸は一糸も毛羽立っていないのです。「まるで奇蹟を見る思い」と帯を手に話される桃紅さん。細い糸だけで描かれた“絵”は在原業平を主人公にした「伊勢物語」です。