2017/03/17

満を持して挑むシェイクスピア悲劇の最高峰―内野聖陽

今だから演じられる高潔な悲劇の王子

すでに『レ・ミゼラブル』、『ベガーズ・オペラ』、『私生活』の三作品で演出を受けているだけに、内野さんのケアード氏に寄せる信頼は絶大だ。それはケアード氏も同様のようで、今年1月に東京で開かれた『ハムレット』の製作発表会見では、“ハムレットは、シェイクスピア作品の中でも最高峰の役。若くて勢いのある俳優が演じるイメージがあるかもしれないが、経験豊かで、作品に込められた哲学について考え、表現できる力を持った俳優にしか務められない”と断言。内野さんに以前から、ハムレットをやるべきだとすすめていたのだそう。
「ありがたいことですよね。シェイクスピアの専門家のような人に、そんなふうにいってもらえて。ただ、なぜハムレットなのか?と考えると、たぶんそれは、僕が“決められない人”だからかも(笑)。“To be or not to be”と悩むハムレットのように、簡単にいうと優柔不断な人間なんでしょうね。そういうところが役柄に合っているのかもしれないなと、思ったりしています(笑)」

170317_int_04.jpg 2006年に日生劇場で日本初演された、ジョン・ケアード脚色・演出、イローナ・セカッチ音楽による『ベガーズ・オペラ』より。ジョン・ゲイによる原作は、ブレヒトの傑作『三文オペラ』のもとになったミュージカルの原点ともいえる作品だ。
写真提供/東宝演劇部


とはいえ、何か行動を起こす際に“やるぞ”“いや、やっぱりやめようかな”と気持ちが揺れ動くことは、誰しも多少はあるはず。人間のそんなアンビバレントな部分を表現することが、かねてからの自身の主題の一つでもあるという内野さんは、「そこを大事に表現して、普通の人が親近感を抱けるところがたくさんあるハムレットにしたい」と話す。「というのも、僕がこれまで日本で観たハムレットは“特殊な人物”に見えることが多くて、もう少し共感できたらなあと漠然と感じていたんです。だから、ジョンから“ハムレットこそ正気で、周りの人間のほうが正気を失っているんだ”と聞いたときは、ちょっと目から鱗というか“そう! 僕が目指したいのはそっち!”と思いましたね。日本では、悶々と物思いに憂い沈む青年のようなイメージもありますが、激情や潔癖さを腹に抱えつつも、表面的にはもっと違っていていいように思う。稽古場でいろいろ試して、観る人の心に響くキャラクターにしていきたいです。お客さまに“この人に死んでほしくない”と心から思ってもらえないと、悲劇になりませんから」

この記事は全3ページです。

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