N邸/山口県・下関市
貝灰漆喰と梨目土の壁が生み出す美しい空間

この家の設計者である建築家の立石貴久さんは、独立前、京都の設計事務所で働いていました。社寺を訪ね、事務所近所のお寺の境内で昼食をとり、借りた部屋の窓からも古い建造物が自然に見える。そんな毎日だったそうです。圧倒的な存在感、美しさを持つ古い社寺は、すべて自然素材でできています。「とくに自然素材にこだわったわけではなく、本物を使ってきちんと作りたかった。嘘をやるとすぐにばれますから」と立石さんはいいますが、その嘘、ということから、建築家や施主が、健康面にまで心を砕いて家づくりをしなければならなくなった現在の状況が浮かび上がります。カタログから品番を選ぶのではなく、自分できちんとつくる。そんな立石さんの姿勢は、自然に天然素材を使った手仕事へと向かいました。貝灰漆喰や土の壁、桐の天井、天然成分の亜麻仁油で仕上げた無垢材の床の美しさに、「目にも健康をいただいている気がします」と建て主のNさん。本物を使うことで環境と美しさが両立した健やかな家づくりです。
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 和室からリビングを望む。和室の天井、柱、建具はすべて桐。壁は久住 章さんによる左官仕上げと岩野平三郎さんによる越前和紙の腰張り。太鼓張りの障子紙も岩野さんによる。
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 上・隣家が迫る和室の窓には、桐の格子で目隠しを。断面が五角形の桐材の隙間から光が洩れる。 下・和室小上がりは、栗の名栗(なぐり)仕上げ。職人がチョウナで表面を削(はつ)って美しい亀甲文様を浮かび上らせる。足の裏に心地よい凹凸を感じる。
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