大和路
あおによし−国宝のある小さな社寺で太古を想う

青丹(あおに)よし 寧楽(なら)の都は 咲く花の 薫(にほ)ふがごとく いま盛りなり
奈良の都の春を詠んだあまりにも有名な一首です。歌が詠まれた当時、朱で塗られた柱がまばゆいばかりの光を放っていた伽藍は時を経た今、古寂びて落ち着いた風情を漂わせています。春の陽気に誘われて、奈良の小さな社寺へ出かけてみませんか。
長弓寺本堂(ちょうきゅうじほんどう) この寺が建立されたのは神亀(じんき)5(728)年のこと。時の天皇・聖武(しょうむ)帝が生駒に狩りに出た折、この地の豪族・小野長弓(たけゆみ)が息子によって誤って射殺された悲劇に接し、哀れに思い高僧行基(ぎょうき)に命じて寺を建てさせたことに始まるという。
宇太水分神社本殿 (うだみくまりじんじゃほんでん) 創建は崇神(すじん)天皇の御世というから、紀元前1世紀に遡る。境内には鎌倉時代に建てられた3棟の春日造の本殿が並び立ち、速秋津比古(はやあきつひこ)神、天水分(あめのみくまり)神、国水分(くにのみくまり)神の水分三座を祀る。本殿の右側には、室町時代に建てられた末社春日神社本殿、末社宗像(むなかた)神社本殿の2社(いずれも重要文化財)も祀られている。

●DATA
長弓寺 奈良県生駒市上町 TEL/0743(78)2437〈法華院〉、0743(78)2468〈薬師院〉、0743(78)3071〈円生院〉 拝観時間/境内自由、本堂拝観は上記へ相談 宇太水分神社 奈良県宇陀郡菟田野町古市場245 TEL/0745(84)2613 拝観時間/境内自由
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 長弓寺本堂の外観。現在の本堂は弘安(こうあん)2(1279)年の再建。均整のとれた美しさは中世の仏堂ならでは。
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 宇太水分神社は平安時代の延喜式にも記されている由緒ある古社。速秋津比古神、天水分神、国水分神の水分三座を祀る本殿。
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 近年修復された宇太水分神社本殿は朱の色も鮮やかで、創建当時の輝きを取り戻している。
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