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2017/03/01

菊乃井 村田吉弘「日本のこころ、和食のこころ」三月 お彼岸

菊乃井・村田吉弘 【日本のこころ、和食のこころ】二〇一七 撮影=小林庸浩

粒あんときな粉の素朴なぼた餅。
かつては、たいていの家庭で
春と秋のお彼岸に作っていた。
ぼた餅は仏壇にお供えし、
先祖の霊を敬い、供養する。
重箱/漆器はたけなか

三月【お彼岸】暑さ、寒さも彼岸まで──。
三月と九月のお彼岸はちょうど季節の分かれめ。
家庭での料理も精進で通します。
お彼岸にはぼた餅・おはぎを作り、
隣近所にもお配りしたものです。
家で作るぼた餅は大ぶりで、
懐かしい味がします。

お彼岸になると、母は必ずぼた餅を作ってました。
親戚にも届けるよう、お使いに行かされたものです

皆さんはぼた餅とおはぎがどう違うか知ってはりますか?おはぎは萩の餅で、あずきのつぶつぶが萩の花に似ているから。ぼた餅は牡丹餅で形が牡丹の花のようだから、と教わりました。いい方は換わりますが実は同じものなんです。まあ、春は牡丹、秋は萩ということで、いかにも日本人らしく、風流ですよね。

おはぎは萩の餅の女房詞ことばで、萩の花ともいったそうです。昔はぼた餅も五色作ったものです。こしあん、粒あん、きな粉、ごま、青のり。子どもの頃はいただくのが楽しみでした。お彼岸の中日はそれぞれ春分の日と秋分の日で祖先を敬い、亡くなったかたを偲ぶ国民の祝日の日となっていますね。

京都はようご先祖さまのお墓参りをします。おじいさんの月命日、おばあさんの月命日、おやじの月命日。これだけでも月に三日ありますな。そのたびにお坊さんもお経を上げにきてくれます。先祖を敬うといった気持ち、ご先祖さまと現世を生きる僕たちとの距離が近いんだと思います。自分が今ここにいるのは過去何万人、何億人ものご先祖さまがいはるから。そう思うと自分の命は自分のものだけではない、ご先祖さまと一緒に命を養うという意識なんです。

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