鬼に金棒の付け帯
お母さまの箪笥から見つかった2本の付け帯は、“きもの古稀はじめ”の阿川さんにとって頼れるアイテム。素早く着付けられ、なおかつ形がきちんと整う付け帯は、きものが日常着だった世代にとっては“暮らしの知恵”のような存在だったことでしょう。
お母さまの箪笥から、上写真の二本を発見した阿川さん。ジャワ更紗風の帯は、鮮やかな紅桔梗色にピーコックブルーを効かせた色調が絶妙で、渋い紬に合わせると装いがスパイシーな印象となりあか抜けるとか。異国のシルク地から仕立てられているため、季節を問わず締められる点も、お母さまが重宝して締めていた所以のようです。
丸に抽象的な草花を織り出した象牙色の帯は、どんな色柄のきものにも併せやすい万能帯。きものに慣れるために、ご自宅で着付けの練習をしたというプライベートショットも合わせてご覧ください。
お母さまも愛用していた付け帯で、自宅にて着付けの練習を。付け帯のおかげで衿もとがくずれることなくご覧のとおりに。オリエンタルな付け帯は、お母さまが志賀直哉夫人から譲り受けたというシックな麻のきものをぐっと現代的に演出。着付け時間を少しでも短くしたい、夏のお助けアイテムとしても活躍しそうです。
阿川佐和子(あがわ・さわこ)
©Akinori Ito作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。『母の味、だいたい伝授』(新潮社)他、著書多数。