ミュージカルの極意「普遍的なテーマを届ける」
ジャケット/ブローム(スタジオ ファブワーク) シャツ/シャリーフ(シアンPR)『王家の紋章』は少女漫画の金字塔であり、作者の細川智栄子あんど芙〜みん先生が人生をかけて、今なお描き続けていらっしゃる時空を超えた愛とロマンの名作です。
初演のときはまずはビジュアルからメンフィスだと思っていただけるように努め、丹誠を込めて作っていただいた衣裳と原作の漫画を参考にしたメイクをしていただいて臨みました。
そしてイメージどおりに動いて、歌って、殺陣をする。本番ではそれを受け容れていただいている感触を得つつ、細川先生からは「あなたはメンフィスよ」とおっしゃっていただけたことが僕にとっての表彰状でした。
今回で再々演となりますが、同じ役を3度も演らせていただくということは貴重な自分の財産です。
皆さまからいただいた助言やアドバイスを踏まえたうえで、より人間味のある人物像を作り上げていきたいです。
また、海宝直人くんがメンフィスとして加わり、僕は初めて作品を客観的に捉えることができます。それが武器となって作品をより深く進化させていけるのではないかと稽古を通して感じています。
メンフィスはファラオという国王として育てられたがために人を人とは思わないような面がありますが、キャロルと出会うことで、彼が人を愛することの大切さを学び得ていくという人間の成長の過程を目にすることができます。
傲慢だった彼が変化していくことを通して疑似体験というか、人生において愛が大切だというシンプルなメッセージをお届けできたらと思います。
浦井健治(うらい・けんじ)
東京都出身。2000年にテレビ朝日系『仮面ライダークウガ』で俳優デビュー。その後、2004年『エリザベート』の皇太子ルドルフ役に抜擢され、2006年『アルジャーノンに花束を』、2015年『デスノート The Musical』といったミュージカルや演劇、映像作品などの幅広い分野で活躍。2015年に読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。2021年3月にはデビュー 20周年を記念したセカンドアルバム『Piece』をリリース。
ミュージカル『王家の紋章』
1976年から連載されている漫画を原作に2016年8月にミュージカル化され、チケットは即日完売したという人気作品。
古代エジプトの若き王、メンフィスと考古学を学ぶ現代のアメリカ人女性、キャロルとの時空を超えた壮大な愛の物語で、脚本・作詞・演出は荻田浩一、作曲・編曲はシルヴェスター・リーヴァイが手がけた。
今回はメンフィスを浦井健治、海宝直人、キャロルを神田沙也加、木下晴香のダブルキャストで演じるほか、新たなキャストが加わる。
帝国劇場~2021年8月28日
S席1万4500円(全席指定)ほか
東宝テレザーブ:03(3201)7777
URL:
https://www.tohostage.com/ouke/※福岡公演あり
表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/山下シオン 撮影/岡積千可 ヘア&メイク/山口 淳 スタイリング/森田晃嘉
『家庭画報』2021年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。